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非定型うつ病

これまで「うつ病」や「躁うつ病」について繰り返しご説明してまいりました。これらは気分が落ち込んだり、高ぶったりする「病気」です。中にはもともとの「性格」といった方もいらっしゃり、10代の頃から悩んでいたのだけれども、就職して仕事に支障を生ずるようになり、ようやく受診したという方もいらっしゃいます。いずれにしても適切な治療により症状が緩和されますので、早めの受診をお勧め致します。

「うつ状態」と「躁状態」とは明確に区別できる時とできない時とがあります。「混合状態」といって、両者が入り混じったような「不機嫌」で「イライラ」したような状態にあると、ご本人は抑うつ的な気分でありながら、周囲からはそのように見えないことがあります。更には「非定型うつ病」といい、典型的なうつ病とは異なった状態を呈することもあります。すなわち、過食、過眠、鉛様の麻痺 (体が鉛様に重く感じられる症状、leaden paralysis)、拒絶への過敏さを特徴とする病態です。典型的うつ病の場合、不眠、食欲不振、精神運動抑制を呈しますので、丁度、逆の様な状態になるわけです。非定型うつ病は若い女性に多く、元々、敏感・繊細なご性格の方がなりやすいため、本人は具合が悪いのに、周囲からはいつもの性格ではないかと軽視されてしまいがちです。時にはむしろ「怠けている」「甘えている」と誤解されることもありますので、改めて「病気」として認識が求められる次第です。



といっても「非定型うつ病」が正式に「病気」として認められるようになったのは、ここ10年程のことでしかありません。それもうつ病のサブカテゴリーとしての扱いであり、明確な定義がなされているわけでもありません。双極況疹祿欧箒界性人格障害との合併や関連も指摘されており、実際のところかなりオーバーラップして診断・治療されているのではないかと考えられます。また前回ご説明したsoft bipolar spectrumに6-7割があてはまるという知見も得られており、「うつ病」というより「躁うつ病」としての見地から診断・治療がなされるべきでしょう。更にパニック障害との合併も指摘されており、パニック障害自体も双極性障害との合併や前駆症状としての指摘がされていることを踏まえると、これらは若年の女性における不安・抑うつ症候群として考えるのが妥当なのかもしれません。

治療は、そもそもこの病気がアメリカにてMAO阻害薬という薬の効果ある一群として定義されたため、MAO阻害薬が効果的なのですが、日本では使用できません。それに代りSSRI, Serotonin Selective Reuptake Inhibitorが効果的と言われています。また躁うつ病が合併している時は気分安定薬を、パニック障害が合併している時は抗不安薬を併用するのが適切です。従って、その時々の気分や病状をよく把握しながら薬物を選択する必要があるのです。

一方で認知行動療法といった精神療法も効果的です。非定型うつ病の特徴として、拒絶への過敏さがあり、他者の言動や環境の変化に敏感に反応する傾向があります。このため面接においてはご本人の認知や行動を客観的に捉え、現実的に適切な意思決定をしていくことを援助してまいります。特に境界性人格障害をはじめ性格の問題を伴っている場合は一時的な対応にとどまらず、長期的な治療が求められます。時に幼少期や思春期からの親子関係や友人関係も振り返りながら、現在の対人関係・葛藤状況に焦点を当てた精神療法を行います。これらは直ぐに解決する問題ではありませんが、銀座泰明クリニックでは治療者との信頼関係のもと、忍耐強く治療を継続していくことにより、少しずつ改善してまいりますので、どうぞ宜しくお願い致します。

非定型うつ病
2007.04.18 Wednesday 10:56 | comments(2) | trackbacks(0) | 

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2017.07.18 Tuesday 10:56 | - | - | 
茅野 分 (2007/04/18 7:49 PM)
コメントいただき、ありがとうございます。「うつ病」の種類は細分化されており、分り辛いこと恐縮いたします。「気分障害」は学問的には以下のような分類(ICD−10、WHO)になっております。

・躁病エピソード
・双極性感情障害(躁うつ病)
・うつ病エピソード
・反復性うつ病性障害
・持続性気分障害
・他の気分障害
・特定不能の気分障害

しかし、それ以外にも各先生や専門家が個人的に名づけた名称もいくつかあります。つきましては今後、本ブログにおきましも、うつ病の亜型などを紹介してまいりたいと存じますの、どうぞ宜しくお願い致します。
悩める男 (2007/04/18 4:46 PM)
昨日 NHKで軽症うつをテーマに取り上げられていたのですが (身体症状が強く出る)心身症、心気症、非定型うつ、気分変調障害、よくうつ神経症など本屋で読んでいても一杯病名がでてきてよく区別がつかないのですが どうちがうのでしょうか?









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