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うつ病による休職

[ うつ病 ]
前回までは、うつ病の経過と回復の過程をご説明いたしました。とにかく焦らないでゆっくり休むことが第一です。うつ病の療養は特に何かをしたら直ぐ治るというものではありません。それまでのストレスフルな仕事や生活から離れ、心穏やかに過ごすことが大事なのです。と言われても、具体的にどうしたら良いのか困ってしまう方もいらっしゃることでしょう。そこで、今回はうつ病の療養の仕方について詳しくご説明したいと思います。まずは項目を列挙いたします。


・朝は早起きする
・食事は規則正しく摂る
・昼寝は15〜30分以内
・自分の部屋でゆっくり過ごす
・特に何もしない
・簡単な日記をつける
・夜は早く寝る
・ご家族は温かく見守る


・朝は早起きする

理想的には、日の出の時間(06時22分、11月21日)です。
人間の身体は太陽の光で一日のリズムが作られます(サーカディアン・リズム)。特に朝日を浴びることで頭も体も目が覚めます。専門的に言うと、動物というのは光を眼球の網膜を通して感じ、脳の視床下部にある視交叉上核を刺激させて一日のリズムをリセットしています。毎日24時間の規則正しい体内時計を働かせるためには、朝日を浴びることが必要なわけです。

散歩

しかし、うつ病の患者さんの多くに、早朝覚醒・起床困難を訴えられる方が大勢いらっしゃいます。これについては早起きを「努力目標」としてはいかがでしょう。朝早く一旦、起きて顔を洗い、歯を磨き、朝日を浴びる、どうしても眠かったり、怠かったりするならば、もう一度、寝るのも仕方ありません。とにかく、朝一度、目を覚まし起きることが望まれるのです。

・食事は規則正しく摂る
これも具合が悪い時はなかなかできることではありませんね。特に朝食は食べられない方がほとんではないでしょうか。にもかかわらず、朝食後の薬が用意されていて、結局、飲めないまま、スキップしてしまうこともあるようです。朝食はしっかり摂るに越したことありませんが、どうしても食べられない時は、甘口のコーヒー牛乳などがお勧めです。糖分で血糖が上昇し、ミルクが胃壁を守り、少量のカフェインが目を覚ましてくれます。なおエスプレッソなど濃いコーヒーは空腹の胃粘膜を障害しますので、避けて下さい。過量のカフェインは不安や焦燥を惹起します。ヨーグルトドリンクなども用意し、それと朝食後のお薬を飲むと良いでしょう。



昼食・夕食も12時、18時頃に規則正しく摂りましょう。食欲がなくても、一定の時間にある程度の量を食べることが大事です。食べられず、体重が落ちることで益々、心身が弱ってしまう方が少なくありません。一方で、夜間にイライラして過食してしまう方もいらっしゃいます。これも当然、避けるべきことで、イライラした気持ちを抑えられるよう、様々な対処方法を用意してまいりたいものです。

・昼寝は15〜30分以内
昼食後、しばらく経つと眠くなります。これは胃に血液が集まり、副交感神経が優位になるためで、健康時でもあることです。昼寝、午睡は自然現象であり、有用です。しかし時間は30分以内に止めましょう。それ以上、眠ると睡眠が深くなり、2-3時間は眠ってしまいます。そして夜に眠れなくなり、夜更かしして、結果、翌朝、起きられなくなるという悪循環に陥ります。うつ病で自宅療養していると、何もすることなく、ともすると寝てばかりになってしまいます。ソファや安楽椅子などでくつろぐのは良いですが、眠るのは最低限にしましょう。

・自分の部屋でゆっくり過ごす
誰でも自分の部屋が一番、落ち着く場所でしょう。家族に合わせて無理に居間で過ごすことはありません。ましてや、友人や同僚・上司との面会は避けましょう。うつ病になると人に会って話すことが億劫になります。親しい友人や家族でさえもです。このような時は自分の部屋でゆっくり過ごすことがお勧めです。それでいて何となく寂しくなり、誰かと話したくなったら、居間に行き家族と少し話しましょう。電話やメールも同様で、やりたくなったら少しだけやります。当然、仕事の電話やメールをすることはできる限り避けましょう。必要最低限に済ませます。家族や友人に代理を頼むのも一法ですね。

・特に何もしない
うつ病の療養と言っても、特に何もすることはありません。むしろしてはいけないことの方が多くあるのかもしれません。回復期ならば良いですが、うつ病の極期というのは何かすると、疲れてしまうだけなのです。例えば、本を読んだり、テレビを見たり、ネットをしたりといった、視覚を使う行為はかなり脳・神経が疲れてしまいますので避けましょう。外出や運動も具合が悪い時は体力を消耗するばかりとなります。

したがって、療養当初はとにかくのんびりと、雲の流れを眺めたり、鳥のさえずりを聞いたりする程度が良いでしょう。最近、流行のヒーリングミュージックを流したり、アロマを漂わせたりするのは悪くありませんが、要は、本人が心地良く感じるかどうかです。子供やペットでさえも、可愛いと思える時と、うっとおしく感じてしまう時とがあるのです。



なお、「転地療養」は両刃となる可能性があるので、注意が必要です。よく行き慣れた別荘などへ行き、気が休まったという方もいれば、見ず知らずの観光地などへ連れて行かれ、むしろ気疲れしてしまった方もいらっしゃいます。具合が悪い時には遠方に車や電車で異動するだけでも疲れてしまうものです。

更に、親元を離れ、一人暮しをしている青年には、実家に帰り休める方と、親には言いたくないから、心配かけたくないからと、内緒で休んでいる方とがいます。この場合は、その方ごとに背景や事情を考慮しながら検討を致します。

・簡単な日記をつける
一日の終わりに簡単な日記を付けましょう。その日したこと、あったことなど、メモをする程度で結構です。ともすると単調に過ぎてしまう毎日を見直すことができますし、規則正しい生活を送るための動機・計画につながります。更に一日を午前・午後・夜間などに区切り、◎○△×などの評価をすることも一案です。「薬を飲んで休んではいるけれど、本当に良くなっているのか」と心配されてしまう方も少なくありません。このような際、1週間ごとに振り返りなどをすると、以前よりも○が増えた、×が減ったと気づかれるはずです。なかなか気づかないでしょうが、日々、少しずつ良くなっている変化を確かめて、安心材料にしていただけると幸いです。以下の「生活行動記録表」は参考になるでしょう。



従って、この時期は心の移り変り等を細かく詳しく記す必要はありません。むしろ、具合が悪い時は、過度の内省や振り返りを避けましょう。そのような時はどうしても悔恨や自責の念にとらわれるものです。その結果、否定的な考えから悲観的な決断をしてしまうこともあります。ある程度、回復してきて、前向きな将来を考えられる余裕ができたら、思考や感情を記録して客観的に分析することがお勧めできます。いわゆる「認知行動療法」と言われる治療法です。これについてはまた機会を改めてご説明したいと思います。

・夜は早く寝る
朝早く起きるためにも、夜は早く寝ましょう。どの病院でも病棟では21〜22時に消灯します。夜更かしは昼夜逆転のはじまりですから、とにかく早く寝ましょう。眠れない時には睡眠薬を飲みましょう。睡眠薬を飲むと止められなくなる、頭がボケてしまうと心配し、できるだけ飲まないようにする方が少なくありません。現在、流通しているベンゾジアゼピン系の睡眠薬は安全性が高いですから、安心して服用して下さい。もちろん睡眠薬を飲まないで眠れるならそれに越したことはありませんが、眠れないならば飲んででも眠りましょう。飲まないで眠れないよりも、飲んででも眠った方が、心身の健康につながります。

と言って、全てを薬で解決しようとも思わないで、まずは規則正しい生活や静かな室内環境を保てるよう心がけることを優先しましょう。コーヒーや紅茶などのカフェインを夕方以降に飲まないようにして下さい。更にテレビや音楽などで刺激的な内容の放送は避けましょう。アクションやホラーなどは禁物です。夜の寝付き良くするためには、夕方から心穏やかに過ごしていただくことが肝要なのです。

・ご家族は温かく見守る
ご家族の方々へはご本人を温かく見守っていただけるようお願い致します。ともすると何かしてあげなければならないと、過保護・過干渉になり、結果的に逆効果になってしまいます。ご家族も焦る気持ちを抑え、温かく見守っていただけると幸いです。話かけ・声かけも、ご本人の様子・反応を見ながらにしましょう。本人が話したそう、寂しそうにしていればそれに応じてあげる程度です。家族が話しかけるよりも、本人が話したいことを聞いてあげる姿勢が理想です。何も言わなくても、そばに居る、同じ家の中に居るだけで安心につながります。付かず離れず、適度な距離を保てると良いですね。

家族

最後に繰り返しますが、うつ病の療養は焦らずゆっくりと休むことが大事です。何かしたから良くなるものではありません。薬を飲み、よく休んで、自然治癒力を十分に賦活させられるよう、心穏やかに過ごすことが一番です。ご家族の方々にはそのための環境整備をしていただきながら、温かく見守っていただけると幸いです。銀座泰明クリニックもその一助となれるよう、ご協力してまいりますので、今後とも宜しくお願い致します。

【改訂】精神科養生のコツ
2006.11.20 Monday 23:53 | comments(1) | trackbacks(2) | 

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2017.08.21 Monday 23:53 | - | - | 
YK (2006/12/02 9:47 PM)
今日生かされていることに感謝します
茅野先生、いつもありがとう☆









暮しと生活にお役に立ちますように・・・・
暮しと料理の知恵をご紹介します。秘伝・コツ・カンどころを満載します。楽しく読んで生活のお役に立てばうれしいです。毎日の生活にお役に立ちますように・・・・
| 料理の知恵 | 2006/11/23 12:31 PM |
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