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覚醒剤精神病 ASKAさんのご病状疑い

覚醒剤とはアンフェタミンとメタアンフェタミン(薬品名:ヒロポン)をさし、1880年代に発見され、当初は治療薬として合成されました。わが国では後者が第二次大戦時に軍事目的で用いられ、特攻隊員が搭乗前に服用させられたり、軍需工場で工員が服用されられたりしたことで有名です。戦後は一般にも流出し、深刻な乱用問題になりました。

 

脳内でドパミンとノルアドレナリンを賦活し、高揚感、過度の覚醒、食欲の減退などを生じ、また多弁・多動、常同行為も生じます。身体的な離脱症状は少ないですが、長期連用で幻覚・妄想、精神・運動・興奮を生じ、末期は無気力は荒廃状態に至るため、覚醒剤精神病と呼ばれ、統合失調症のモデルとされました。中断しても少量の摂取やストレス、不眠、疲労など非特異的な要因で自然に再燃します(精神医学エッセンス、濱田秀伯、改変)。

 

2016年11月28日、覚醒剤取締法違反で再逮捕されたASKAさんですが、この覚醒剤精神病に罹患されていたようです。2016年7月18日に書かれたご本人のブログを読むと、それが疑われます。

 

 

この半年間のできごとについて

 

ASKAです。

 

みなさんには、本当にご心配おかけいたしました。既に、週刊誌やネットでご覧になられていたでしょうが、実は、盗聴盗撮の事実に懐疑的になった周囲によって、覚せい剤の後遺症であると判断され、医療保護入院という国が定めたシステムの入院をさせられてしまっていました。本当に、病気だと思ったのでしょう。早く治療を受けさせなければと考えたのでしょう。

その行為には何の恨みも生まれてはおりません。

盗聴盗撮は本物です。巷では横行しています。皆さんも、気づかれていないだけで、被害に遭われています。ネットでは、精神科の医師の発言により、僕が精神病、統合失調症のように書かれていますが、僕は病気ではありません。精神科の医師たちは、現代のテクノロジーについて行っていないだけです。今回のできごとは、盗聴盗撮集団の思惑どおりに事が運んだということになります。

 

実は、このブログをUPするのは4回目のことです。7月14日、お昼の2時頃に1回目を「ASKA_Bunishustone」2回目は「ASKA_BS」です。ヤフーよりUPしたのですが、グーグルやヤフーの検索エンジンには、引っかからず、誰の目にも止まりませんでした。検索エンジンは、5分も満たないうちに作動するものです。どなたか、プログラマやエンジニアの方が読者の中にいらっしゃいましたら、この疑問を解いてください。1月に2回目のブログ立ち上げの際には、3時間ほどで1000アクセスを超えましたので、非常に不可解です。何らかの力が働いているのではないでしょうか?このブログのオリジナルはここです。

 

http://ameblo.jp/used-be-a-realcast/entry-12180800382.html?frm_id=v.mypage-checklist--article--blog----used-be-a-realcast_12180800382

 

プログラマのみなさん、このブログのソースコードに不自然な点はないでしょうか?4日間も検索に引っかからないのは、極めて不自然です。それとも、ヤフーやアメブロは検索エンジンに引っかかりにくいのでしょうか?ま、あまり疑いを持つのは良くないですね。そういうことも、あるのかもしれません。今回は「はてな」により、”aska_burnish stone”で、UPしてみました。

 

話を変えましょう。入院生活は過酷でした。4ヶ月の入院生活では、最初の10日間、部屋に鍵がかけられ自由を奪われました。本さえも持ち込めないのです。何もやることがないということは、本当に辛いことです。僕は、4ヶ月間ひたすら筋トレに励みました。そして、入院3ヶ月を過ぎた頃、僕が正常であると確信したある弁護士らによって救出して頂いたのです。しかし、医療保護の名の下には、直ぐには解放とはならないのです。一度、任意入院に切り返わる必要があります。

5月17日、僕は九州の病院に転院しました。そこでは、医院長の検診、面談が行われ、直ぐに「病気ではない」と、診断されました。やっと、疑いが晴れたのです。医療保護が解け、任意入院になり、1ヶ月間の自由な生活をいたしました。パソコンもスマホも許可してもらいました。部屋にはテレビもある、お風呂も毎日入れる。売店にも自由に行ける。外泊もできる。地獄から天国です。

 

久しぶりにパソコンに触れた時、驚くべき事実に遭遇いたしました。僕の所有しているパソコン、スマホの全てのパスワードが書き換えられてしまっていたのです。ケーブルが繋がったままでしたので、遠隔操作でしょう。パスワードを取り戻すのには大変な時間を費やしました。1月に書いた4つのブログも、全部削除されました。昨今、芸能人の多くが、このような被害に遭われていることはご存じのことでしょう。

興味深い話をしましょう。僕が「700番」を公開した直後、僕が6年間に渡って受けてきた盗聴盗撮の証拠は、全て削除されてました。現在ネット上に盗聴盗撮の痕跡はありません。しかし、僕はその多くをCD-Rに記録してありましたので、集団の証拠隠滅は無駄な努力となりました。

 

九州の医師には、証拠を見せました。「・・。 こんなことが起こってたんですね。驚きしかありません。」「これが、今の世の中の実態です。僕のように盗聴を訴えて、病気にされている人たちが、全国にはたくさん居ると思います。」

ネットでは、僕がモンスターハンターゲームの被害者だと自ら思い、勘違いしているなどと書かれておりますが、そんな分かりやすいことに6年間も費やすことはありません。モンスターハンターゲームのスレッドなどは見たことがありません。彼らが、モンスターハンターゲームの用語を使用してやっていたのです。カモフラージュです。僕が見ていたのは、数人のツイッターとブログだけです。過去、彼らによって壊されたパソコンのハードディスクは、全て持っています。

また、盗聴で得た僕の声を使用したゲームがあると書きましたが、そのゲームソフトも入手いたしました。自分の声とは58年間付き合ってきてるのです。間違いはありません。声紋鑑定を行えば良いだけです。ここから先の僕の行動は書きません。ただ今、弁護士と打ち合わせの日々です。みなさんへの公開もありえるかもしれません。

6月の終わり、またログインパスワードを変えられてしまいまいた。リセットパスワードでパスワードを取り戻し、その足で、あるIT会社へ相談をするために足を運びました。その時、IT会社社員の目の前で、再びログインパスワードを書き換えられてしまったのです。電源を入れてから、僅か数分間のできごとです。これは「キーロガー」というソフトです。そのウイルスソフトを仕込まれていると、パスワードを書き換えても、一瞬のうちに相手に情報が送られるのです。現在、キーロガーを防ぐ手立ては殆どありません。

 

「相当の集団ですね。ウチのプログラマでは対抗できません。」しかし、このできごとは、僕にとって追い風になりました。証人が増えて行ったからです。彼らは、やりすぎたのです。体制は整ってまいりました。また、週刊誌では、僕が「奇声を上げていた」と、ありましたが、真っ赤な嘘です。家族に手を上げることなどもありません。この6ヶ月間の経緯につきましては、近いうちにある形で皆さんに報告をいたします。ありがとうございました。

 

ASKA

 

いかがでしょう。ASKAさんの言うことに感情移入し、出来事を追体験してみると、もしかしたらそうかもしれないと、特に熱心なファンの方ならば「了解」される方がいるかもしれません。これを「妄想様観念」と呼びます。人間のこころは、その人の置かれた状況を追体験し、その時の気持ちになり、感情移入することから全体を了解することでのみとらえられると考えられます。

 

しかし、どうしても「了解」できない場合は何らかの病的な過程が想定され、その代表を「真性妄想」と呼びます。その代表が統合失調症であり、今回の覚醒剤精神病もその境界線にあると考えられます。ブログの内容は専門的なIT用語が並べられ、その真偽について筆者は分かりませんが、精神医学的には不可思議があります。その最たるものが、精神疾患でない人を医療保護入院にすることは決してない、ということで、「病気でない」と判断されたにもかかわらず、1ヶ月任意入院になることもないということです。

文章は一見、論理的に書かれているようであり、論旨は一貫しておらず、思路障害(考え方の筋の通り方)が多少なりとも障害されていることが推察されます。これは統合失調症ほどではありませんが、精神病の方の特徴的な所見です。いずれにおきましても、被害妄想とあわせて、覚醒剤精神病を生じていたことは間違いないでしょう。

 

さて、今後の成り行きですが、前回の懲役3年、執行猶予4年という判決の最中の再犯であり、実刑、懲役5-6年は確実と言われています。しかし、薬物依存症者に「刑罰」を与えても累犯を生じるのみ、というのが昨今の精神科医による一致した意見です。代わりに必要なのが「治療」であり、どうして薬物依存に至ったのか、止めるにはどうすればいいのかを、生物・心理・社会学的な見地から振り返り、周囲の方々の理解と協力を得ながら進めていくのです(図は断酒治療モデルです、酒を薬に置き換えてご覧ください)。この過程はとても辛く苦しいものですから、とても一人では行えません。家族や友人、そして同じ病を抱えた仲間との絆のもとに進められます。ASKAさんにおかれましても、是非、その治療モデルケースとなることを期待しております。

 

 

銀座泰明クリニック

2016.12.01 Thursday 10:16 | - | trackbacks(0) | 

拡大自殺の疑い/ドイツ機墜落事故

【ベルリン共同】フランス南部のドイツ機墜落で、ドイツ捜査当局は27日、機体を故意に墜落させた疑いが持たれているアンドレアス・ルビッツ副操縦士(27)の自宅から、破られた医療機関の診断書を押収したと発表した。診断書は墜落当日の24日を含め「乗務不可」とする内容。精神的な病気を勤務先に隠していた可能性があるとみている。

 当局は副操縦士の自宅などから押収したコンピューターなどを分析。人間関係や金銭問題でトラブルや精神的なストレスを抱えていなかったかなど、動機や背景の解明を急いでいる。

「副操縦士の実家」の画像検索結果

 当局は病名を明らかにしていないが、ドイツ紙ビルトは27日、副操縦士が6年前に精神疾患を患い、合計1年半の間、治療を受けていたと報じた。墜落機を運航していた格安航空ジャーマンウイングスの親会社ルフトハンザ航空の関係者らの話として伝えた。また、治安当局筋の話で副操縦士が最近、交際女性との関係で悩んでいたとも伝えた。

 ドイツ紙南ドイツ新聞(電子版)は、副操縦士が以前から同国西部の精神科で治療を受けていたと伝えた。(47NEWS)



拡大自殺という概念があります。ひとつの定義をご紹介いたします。
1) 本人の死の意志
2) 1名以上の他者を相手の同意なく自殺行為に巻き込むこと
3) 犯罪と、他殺の結果でない自殺とが同時に行われること
4) 自己中心的な動機でなく、利他的な、あるいは偽利他的な動機から犠牲者を道連れにしようとしていること
5) 犯罪の結果について熟慮せずに自発的に行われていること
 
Meszaros K, Fischer-Danzinger D (2000). "Extended Suicide Attempt: Psychopathology, Personality and Risk Factors.". Psychopathology 33: 5–10.
おそらく副操縦士は重篤なうつ病、精神病に相当する状態にあったことでしょう。ただし、不可解なことは犯行の直前まで主操縦士はじめ周囲の同僚が異変に気づかなかったということです。これだけの大事件を起こす精神異常をきたしていれば、表情、発語など言動にいつもとは異なるところが見受けられたはずです。ルフトハンザ社は死後であっても個人情報はすべては公開しないと言っていますから、真相は闇の中ですが、これだけの尊い命が失われたのですから、何らかの情報は公開して欲しいものです。

銀座泰明クリニック
2015.03.28 Saturday 06:54 | - | trackbacks(0) | 

記憶喪失/全生活史健忘/解離性健忘

PC4台駆使、違法動画1000万円超荒稼ぎの男は「記憶喪失」の怪… 生活保護も不正受給、裁判には仮の名「鈴木太郎」で出廷の異例

動画投稿サイト「FC2」にテレビドラマなどを違法アップロードし1000万円以上を荒稼ぎしたとして群馬、栃木両県警の合同捜査班に著作権法違反容疑で逮捕された男が、自分の名前も言えないほどの「記憶喪失」で、生活保護まで不正受給していたことが分かり、詐欺容疑で再逮捕された。「唯一の身分証である生活保護の受給者証を失うわけにはいかなかった」と話す男の記憶は今も戻らず、「鈴木太郎」という仮の名で、公判に出廷している。平成20年03月に静岡県熱海市の路上で倒れているところを発見されてからの男の足跡をたどった。(大橋拓史/産経ニュース)
悩む/理解不能/謎の物体

「記憶喪失/全生活史健忘」とはどのような病気でしょう。精神医学的には「解離性健忘/ICD10/WHO」と定義され、「最近の重要な出来事の記憶喪失」であり、非常に強いストレスやトラウマ(心的外傷)を生じた際に起きる精神障害です。「遁走」(家庭や職場からの逃避)と伴うことが常であります。通常は2−3日で終わることがほとんどで、長期にわたる場合はでも、日常生活は保たれるものです。

今回の事件は数年間におよび、PC4台を駆使して、1000万円以上を荒稼ぎしたという、悪質ながら、稀(まれ)な症例であり、精神医学的には注目に値します。犯罪は用意周到、計画的で、精神鑑定をしても責任能力は十分に有していると判断されることでしょう。

でも、なぜ、このような現象が起きるのでしょうか。それは、非常に強いストレスやトラウマ(心的外傷)、生死や人生に関わるような事件に遭遇した人がとりうる、病的・心理的・防衛機制といえます。辛い出来事に直面できず、心理的に逃避した結果、起きる病的反応です。

一般的には数日間で現実に戻らざるをえない現象ですが、本症例は、数年間におよび、生活保護を受給しながら、著しい犯罪を生じたことは、学問的に特筆に値するとも言えるでしょう。

犯罪は刑法で裁かれなければならないことですが、精神医学的には、何が彼をそうのような行動や生活に至らしめたのか解明することは、学問的に、社会的に必要なことと思います。そして、精神科医としましては「罪を憎んで人を憎まず」の気持ちで事件の解明を見守る次第です。

銀座泰明クリニック

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2015.02.10 Tuesday 01:46 | - | trackbacks(0) | 

臨死体験/NHKスペシャルより



『私』という存在は死んだらどうなるのか、死ぬとき『私』は何を見るのだろうか――。 20年余り前、臨死体験について徹底的に取材し考察を深めてきたジャーナリスト/評論家立花隆さん。74歳を迎え、がんや心臓の病を抱えて死を間近に感じる今、再び臨死体験の最新研究の現場を見つめ、“死”について思索しようとしている。死の間際に一定の人が見る臨死体験。臨死体験が世界で注目され始めた1980年代以来、その解釈としては、脳内現象として科学で説明できるとする「脳内現象説」と、肉体が死んでも“魂(もしくは自我を感じる「意識」)”が存在し続けるという「魂存在説」―――これら二つの説が互いに相容れない、激しい議論が続いてきた。そうした中、立花さんは新たな臨死体験の掘り起こしをすると同時に、そもそも「意識(魂)」と呼ばれているものの正体とは何なのか、最新の脳科学・心理学・哲学にいたるまで、徹底した取材に基づいて正面から挑もうとしている。科学的に見て、死後の世界があると言える余地はどれくらいあるのか。死後の世界がないとしたら、『私(自分)』という意識(魂)はどう生まれどう消えていくのか。私たちが当たり前と思っている『私』という存在はいったい何なのか。有史以来、人類が答えを追い求め続けてきた生と死にまつわる壮大な謎―――その謎に挑む立花さんの思索の旅を通じて、大震災や紛争などで多くの命が失われる今、命や『私』の存在する意味を考える。

「臨死体験」として「神秘体験」を生じる方がいらっしゃるそうです。花畑を歩き回り、亡くなったはずの親や親戚に出会う、「幽体離脱」して、死に瀕している自分を部屋の上から眺めるのだそうです。このような体験が科学的に解明されるような時代になりました。大脳辺縁系をはじめとした脳細胞60兆個からなる神経ネットワークの織り成すまさに夢のような現象です。番組では人間の臨床検査はもとより動物実験も含めて検証を重ねる様子が放映されました。

「神秘体験」とは「生老病死」「死」という生物として避けることのできない現象を前に、高度に知性化した人間が恐怖することなく、死を受け容れられるよう、脳を発達させた形だと思います。古今東西、不老不死は人間の究極の夢でした。しかし、それは叶うことなく、誰もがいつかは死を受け容れなければなりません。そのために死の間際に「神秘体験」のような「夢幻現象」が求められるのではないでしょうか。ターミナルケアの現場においては、末期がんのため「適応障害、うつ状態」になる方が少なくなく、さらに術後や臨死の際に「せん妄」という幻覚・妄想を伴う意識障害に陥ることもあります。これらは「臨死体験」の背景にある精神病理と言えるでしょう。

ターミナルケアにおいては「医療」よりも「宗教」の方が有効かもしれません。医療は疼痛緩和や不眠・不安の対症療法にすぎません。最も重要なことは来たるべき死を素直に受け入れる「心の平安」で、これは信じること、祈ることにより得られます。キリスト教や仏教をはじめとしたあらゆる宗教が死後の救済を筆頭の題目に挙げ、「人智を超えた大いなる存在」に身を委ねることを説いています。

「精神医療」においても難治性疾患では薬物療法や認知療法など科学的な治療法が及ばない時には「祈り」が求められます。アルコール依存症の自助グループ"AA. Alchoholic Anonymous" では 自分の無力さを認め、Higher Power に自らを委ねることからはじまります。日本発祥の「内観療法」では屏風の中で合掌・お辞儀して、内観者の中に宿る「仏性」を信じることからはじまります。いずれも人間の無力さを自覚し、神や仏といった大いなる存在に自らを委ねることで、ようやく「解脱」「悟り」の境地に至るのでしょう。

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2014.09.19 Friday 17:32 | - | trackbacks(0) | 

ストーカー 殺意の深層 悲劇を防ぐために NHKスペシャル


 

昨年、被害件数が過去最悪の2万件を超えたストーカー事件。凶悪事件が後を絶たない中、注目を集めているのが“加害者へのアプローチ”だ。被害を防ぐために、加害者の心理を解明し、その危険性や要因を見極め、犯行にいたる行動や意識を変えていくという模索が始まっている。多くの場合は、警察による警告や処分などで収まるが、数パーセントから1割程度の加害者が、警告を聞かず殺意を全うさせようとするという分析もあり、対策は急がれている。今回、番組ではストーカー加害者に焦点を当て、その心理の研究を続けてきた専門家やNPO、対策に乗り出した警察などを取材。海外の先進事例も紹介し、ストーカーが殺意に向かっていく“心の闇”を紐解いていく。ストーカーはなぜ生まれるのか、加害者は何を考えているのか、事件を未然に防ぐためには何が必要なのか、検証する。

番組に関する情報を掲載しております。
NHK NEWS WEBホームページ ストーカー被害2万件


桶川ストーカー殺人事件、逗子ストーカー殺人事件、そして三鷹ストーカー殺人事件と世間を震撼させる「ストーカー殺人事件」が続きました。「ストーカー」とは、ある特定の人物へのつきまといをする行為をする者とされ、大半が「失恋」による「逆恨み」によるようです。小早川明子さん/NPO法人ヒューマニティの著書「『ストーカー』は何を考えているか」によると以下のように定義されています。
 

ヽ慮任燭訖翰的動機があり、正当性を妄想的に信じ込んでいる
∩蠎蠅魄貶的に追いつめ、迷惑をかけて苦しめていることをを自覚しながらも、相手に好意を持たれる望みをかけている
その望みが絶たれた、心のバランスは憎しみに反転し、自殺または相手を殺害することもある



危険度は高中低に渡るようですが、いずれにおきましても、精神医学の専門用語を用いますと、「見捨てられ不安」「しがみつき」「理想化と脱価値化」「不適切な激しい怒り」……といった「境界性人格障害」の診断基準に合致するでしょう。この障害は「慢性的な空虚感」「衝動的な行動」「自我同一性(アイデンティティ)障害」などに特徴づけられる人格障害です。相手を脅迫したり傷害をあたえたりしつつ、自らもリストカットや大量服薬のような自傷行為を行い、時には自殺企図を行います。殺人・自殺まで至るハイリスクな事例はまさにこれに相当するでしょう。

それより軽度の場合は「自己愛性人格障害」、すなわち「誇大性」「賞賛欲求」「共感の欠如」といった特徴を呈する人格障害と考えられます。この障害は「自己愛」を優先するため、相手を傷つけながら、自分は傷つかないよう、巧妙・狡猾な計算を行います。高知能・高学歴であることも少なくないため、社会的に成功している人物にも認められます。しかし背景には「脆弱で孤独な自己」「自己肯定感の低さ」が隠れています。弱くて寂しい自分を受け容れられないため、相手に誇示することで自尊心を満たすのです。恋人や妻へ DV. Domestic Violence を行ったり、部下や女性へパワハラ・セクハラを行ったりすることもあります。

いずれの障害も、あらゆる精神障害に共通する「遺伝×環境」の因子によります。不安・焦燥・抑鬱・憤怒などを生じやすい気質と幼少期からの親子関係の不全です。特に指摘されているのは、「心身への虐待」「過保護・過干渉」といった不適切な親子関係です。境界性人格障害の場合は虐待のような明らかな「暴力」を受けて育ち、自己愛性人格障害の場合は過保護・過干渉のような「条件づけの愛情」のもと育てられたケースが多いようです。これらは精神医療では DSM. Diagnostic and Statistical Manual of Mental Disorders 精神障害の診断と統計マニュアル/アメリカ精神医学会においては、Cluster B 人格障害 (劇的群、感情の混乱が激しく演技的で情緒的なのが特徴的、ストレスに対して脆弱で、他人を巻き込む と分類され、福祉領域では「AC. Adult Children アダルト・チルドレン」(機能不全家族、家庭内不和にて育ったため、成人後も様々な心的外傷を引きずり、心身・行動の問題を生じやすい)と定義されています。

番組では小早川明子さんが加害者と電話やメールを交わし、時には誹謗・中傷されながらも、めげることなく、徹底的に話し合う姿が放映されていました。そしてご著書にその手順が以下のように紹介されています。

 

.好函璽ングは違法行為であることを教える
△匹鵑併でも、常識は伝え、言い放つ
H鏗下圓竜せちを伝える、多くは接触を止めて欲しいということ、理由も伝える
と鏗下圓謀舛┐燭い海函∧垢たいことがあれば私を通すように依頼する
ツ樟椶力⇒蹐呂弔まといになること、止めなければ警察に通報すると伝える
 #警告、または逮捕されたのちもカウンセリングを継続する
α佇の債権債務の整理をする(被害者にも落ち度がある場合がある)
Г海世錣觝拮瑤鬚箸發妨‘い掘答えである「鍵」を見つける
┫蕎陲蓮⊇衢者である自分自身に処理する責任があることを徹底理解させる、相手に感情処理の責任を持たせようとする立場から降りるのを待つ
相手に依存する心理、もとからあるコンプレックスや孤独を受け容れるサポートをする
解放の「扉」の先=未来の風景について話を聞く


ご著書によると自身がストーカー被害者であり、5年間に渡り、相手と格闘したことが活動の原点だったとのことです。とても勇気ある活動であることと心より尊敬を覚えました。唯一心配なのは、番組で彼女が携帯電話を片手に孤軍奮闘している姿のみが放映されていたことです。行為障害/人格障害の対応・治療というのは心理・医療・司法といった多職種・多人数によるチームワークが求められ、とても単体で遂行できる活動ではありません。精神医療の立場からは、抗精神病薬や気分安定薬など薬物治療も事例によっては必要ではないかと思いました。ご著書の最後にも書かれていたように、「ストーカー」とは「わかっちゃいるけど、やめられない」という、いわば「恋愛依存症」という「脳と心の病」なのです。

銀座泰明クリニック
2014.07.07 Monday 00:15 | - | trackbacks(0) | 

薬物依存/ASKAさん逮捕



残念なニュースが入りました。1990年代ミリオンセラーを連発したミュージシャン CHAGE and ASKA の ASKAさんが覚醒剤はじめ複数の違法薬物使用・保持で逮捕されたというのです。日本の歌謡界で頂点を極めた人がどうして、という思いの人も少なくないでしょう。しかし2000年代に入り次第に世間の注目は減ってきました。今年56歳となり、20-30代の頃のようには曲を作れず歌を歌えず、本人としてはもどかしい思いをされていたのではないでしょうか。

「薬物依存」という「脳と心の病気」は、寂しさや空しさといった感情と裏腹にあります。特に青春期に華々しい活躍をされていた芸能界の方々は、中年期・老年期に入っても、老化した自分をなかなか受け入れられず、アルコール、ギャンブル、セックス、そして薬物依存といった過剰な刺激で、心の隙間を埋め合わせてしまいます。

本人は「所持をしたことはない」とおっしゃっているそうです。事実はともかく、薬物依存は「否認の病」と呼ばれています。多くの薬物依存の患者さんは使用や問題などを過小視、矮小化します。しかし否認とは認めていないだけで、気づいてはいるものです。皆さん薄々「まずい、なんとかしないといけない」と思いながら、どうにもならず、問題が表面化してようやく堪忍するのです。

それでは、「薬物依存」という「脳と心の病気」をどのように「治療」していけばいいのでしょう。まず第一は「脳と心の病気」であることを素直に認めることです。違法薬物を所持・使用してしまったことは犯罪として償う必要がありますが、薬物依存から脱却するには、「医療」の力が必要です。これまで日本社会では拘置所や刑務所など法務省の管轄で処罰されるのみで、厚生省の管轄で治療へつながるケースは多くありませんでした。このため、出所後、間もなく再犯・累犯という事態に陥っていたのです。

このような問題への解決には「薬物依存」という「脳と心の病気」である認識のもと、「精神医療」が必要です。まずは、違法薬物の代替となる向精神薬を用いて離脱症状を抑えます。そして、違法薬物を必要とした経緯や、その前後に生じた様々な葛藤をゆっくりとうかがいます。皆さんはじめは否認や抑圧をしつつも、過去の栄光や挫折を少しずつ語りはじめ、そして現在の自分を受け容れ、最後に涙するものです。事件が原因となり、仕事や家族を失い、どん底まで堕ち(底つき体験)、死にたくなるほどの絶望感を漏らす方もいらっしゃいます。精神医療の従事者は、その訴えを真摯に傾聴・共感し、本人が再び立ち上がり、歩み出す援助を行ってまいります。

ただし、薬物依存をはじめとした依存症やアディクションと呼ばれる深刻な「脳と心の病気」は医療のみでは不十分です。一緒に病気を乗り越えていこうとする「仲間」が必要なのです。このため各依存症には「自助グループ」が発足しています。薬物依存には「ダルク(DARC. Drug Addiction Rehabilitation Center)」という組織が全国にあり、「皆で止め続けよう」と頑張っていらっしゃいます。この「続ける」ことが大事です。止めたと思っても再び使ってしまうことが少なくないのです。そのためには、一人きりにならず、常に誰かと一緒に、「止め続ける」気持ちを抱き続けることが必要なのです。ASKAさん逮捕は残念ですが、これを機に、ASKAさんはじめ、同じような「脳と心の病気」に苦しむ方々が一人でも多く救われることを祈る次第です。
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2014.05.18 Sunday 23:28 | - | trackbacks(0) | 

空想虚言/ゴーストライター問題

日本の音楽界を大きく揺るがす事件が起きました。佐村河内守氏が作曲したといういくつものクラッシック曲がゴーストライターによる作品だったことです。虚偽の作品を発表することで金銭や名誉を得ようとした反社会的な行為です。なぜ彼は世の中の人々をあざむくような行為をしたのでしょう。もちろん目先の金銭や名誉を求めてのこともあるでしょうが、もっと深い「心の病」が潜んでいることが想像されます。それは…

佐村河内守

「空想虚言」という精神症状です。これは架空の事柄を真実であるかのように物語る行為です。虚言と追想錯誤とが混合し、誇大的な内容を語るうちに自分も他人もあざむいてしまうことが多く、犯罪学的に問題とされました。顕示性ないし発揚性の人格異常から妄想とみなしうるものまで含まれます。

Schneiderというドイツの精神医学者は「人格異常の中で、その異常性に自ら悩むか、社会を悩ますもの」と定義して、10に類型しました(1923年)。そのうち、空想虚言を呈しやすい人格異常として顕示型と発揚型を紹介します。

顕示型:自分を実際以上にみせかけるもの、いわゆるヒステリー性格、演技性人格障害に相当します。嘘をついたり芝居をして、他人も自分もあざむくが、物質的な利益より役割そのものに意味があります。虚言者、欺瞞者、空想虚言、虚偽性障害、ミュンヒハウゼン症候群の一部が含まれます。自分をより以上にみせかける欲動は顕示欲です。

発揚型:快活で現実的、世話好きの楽天家。しかし周囲と摩擦を起こしやすく、すぐ和解するが、職を転々として意志不安定にみられることがある。(濱田秀伯先生、精神症候学、弘文堂より引用改変)

演技性人格障害とは、アメリカ精神医学会「精神障害の診断と統計の手引き」による定義によりますと、「過度に情緒的で、度を越して人の注意を引こうとする行動の広範な様式で、成人早期にはじまり、様々な状況で明らかになる」、以下の基準の5つ以上を満たすと疑われます。

1. 自分が注目の的になっていない状況では楽しくない
2. 他人との交流はしばしば不適切なほど性的に誘惑的または挑発的な行動により特徴づけられる
3. 浅薄で、すばやく変化する感情表出を示す
4. 自分へ関心を引くため、絶えず身体的外見を用いる
5. 過度に印象的だが、内容の詳細がない話し方をする
6. 自己演技化、芝居がかった態度、誇張した情緒表現
7. 被暗示的、つまり他人または環境の影響を受けやすい
8. 対人関係を実際以上に親密なものとみなす


このように空想虚言者は、派手な容姿で、人目を引く、目立つ人物を想像されますが、その内面では孤独感空虚感にさいなまされていることが少なくありません。虚ろな内面を補うために、必死で外面を飾り立てている、とも言えるでしょう。演技性の人格が形成される原因として、素因となる気質に加え、幼少期の親子関係や友人関係などにおける心的外傷(トラウマ)がその一つと考えられています。佐村河内守氏の幼少期にどのような出来事があったのか存じませんが、おそらく家庭や学校で寂しさ虚しさを感じられる出来事(ライフ・イベント)があったのではないでしょうか。

もし本人の「治療」が可能ならば、まず現在の心境を話していただくことからはじまります。おそらくこのような事件となり、「生きているのもつらい」とおっしゃることでしょう。「自殺」の二文字が頭をよぎったかもしれません。そこで大事なことはマスコミによる記者会見のように本人を責めないことです。たとえ悪いことでも本人なりの思いがあってやったことでしょうから、それを否定することなく「傾聴」するのです。話す内容はまだ虚偽を含んでいるかもしれません。しかしそれは自分の弱い心を守る「鎧(よろい)」です。そこで「鎧」を無理に脱がすなく、そのまま素直に話を聴き、「共感」するのです。すると次第に「鎧」を着るようになった経緯が語られることでしょう。幼少期の家庭環境、思春期の友人関係などが、時に切なく時におかしく語られます。その流れの中で、これまで目を伏せてきた自分の過去を直視するようになり、自分という存在を再認識するようになるのです。そして、これまで演じてきた「偽りの自分」を捨て、「本当の自分」を生きていくことができることを願います。今回の事件により大きな損害を生じ怒り心頭の方も多いと思いますが、治療者という視点からは「罪を憎んで人を憎まず」とありたいものです。
2014.03.01 Saturday 14:53 | - | trackbacks(0) | 

みのもんたさんの息子「窃盗癖」の可能性

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2013年09月13日より世間をさわがせている、みのもんたさんの息子が他人のキャッシュカードを無断で使用した、バッグを盗んだという事件。ほとんど話題にされていないのがその動機です。超有名人の息子で、有名私立小学校から大学まで内部進学、テレビ局へ入社、プロ野球の取材、高級マンションに居住、妻子ありと何不自由ない生活をしています。どうしてわざわざ危険を冒してまで窃盗をする必要があるのでしょう?それが窃盗癖という病気の不思議です。
窃盗癖とは、「抵抗困難な窃盗衝動」を特徴としています。その不合理性(了解不能性)と反復性の2点をもって病的とされています。不合理性とは、盗んだ品物自体には必要性は価値を認めず、購入する金銭を所持しているにもかかわらず窃盗行為することです。

それでは何のために行うのでしょう?それは「盗む」ためとしか言いようがありません。アメリカの診断基準DSM4TRによりますと「窃盗におよぶ直前の緊張感の高まり」「窃盗をおかす時の快感、満足、または解放感」が定義されています。すなわち、経済的ではなく心理的な目的のために行われるわけです。
なお、窃盗癖はDSM4TRによると「衝動制御の障害」に分類され、他には「放火癖」「病的賭博」「抜毛癖」「間歇性爆発性障害」「その他」などがあります。いずれも「衝動性」を特徴として、「あらかじめ考えられた動機ではなく、駆り立てられるような心理により、目的意識を持たず、ただちに実行し、遂行すると深い満足を覚える」ことを特徴とします。
精神疾患としは気分障害、強迫性障害、嗜癖行動障害などが指摘されており、神経科学的にはセロトニンドパミンの関与が指摘されています。従って、SSRI, Serotoni Selective Reuptake Inhibitor DSS, Dopamin System Stabilizer などの薬物が効果的と考えられています。
 
心理療法としては、衝動に抵抗し、窃盗により生じるマイナスのイメージを思い浮かべ、別の行動を選択するような行動療法、衝動の背景にある気持ちを書き留めていく認知療法が推奨されています。さらに幼少期や家族歴など振り返り、独りで寂しかった思い(孤独感)や心が虚しかった気持ち(虚無感)などに気づき(洞察)、今後の生活や人生につなげていけるとよいでしょう。
注意すべきことは、周りがとかく「手癖が悪かった」とか「躾が甘かった」とか批判に終始しないことです。多少は家族歴・生育歴上の問題はあるでしょうが、これは「脳の病気」であり、治療を必要とする状態であることを社会が認識することです。さもなくば社会的な偏見と差別ばかりが横行して、必要な診断・治療が行き届きません。これは覚醒剤などの薬物依存・乱用についても同様です。これを機に認識を改めましょう。
 
2013.10.02 Wednesday 05:09 | - | trackbacks(0) | 

医者のメンタルヘルス

前回は東日本大震災における援助者のメンタルヘルスについて説明しました。過酷な労働、悲惨な光景、不当な評価などは「非常事態ストレス CIS, Critical Incident Stress」といい、被災者もさることながら、援助者も「二次被災者」や「隠れた被災者」と呼ばれます。今回の大震災では、警察・消防・自衛隊などの方々に加え、原子力発電所に関連した方々も多大なるストレスに見舞われています。このため、一次被災者に加え、援助者のための援助も必要とされます。

これは医療現場においても同様です。救急部・手術室・ICU(集中治療室)をはじめ、内科・外科、産婦人科・小児科などでは24時間・365日、医療が行われています。怪我や病気には、昼も夜も、平日も休日もなく、常に医療・看護が求められます。これに対し、看護者は日勤・準夜・深夜など交代制のシフトを組み、夜間・休日も勤務しています。医者は当直制があるものの、主治医の場合は夜間・休日も対応することが少なくありません。生死のかかった状況や主治医でないと判断できない困難な状況においては、患者さんへの治療はもとより、ご家族への説明なども、主治医が対応するものです。

このため医者が疲労困憊することが昨今、社会問題になっています。「燃え尽き Burnout」と呼ばれる、心身が消耗し職務への意欲を喪失した状態はもとより、精神医学的に評価すると、適応障害、うつ病と診断されるような病的状態が認められます。日本医師会「勤務医の健康支援に関するプロジェクト委員会」の調査(1万人)によると、8.7%の医者が軽度から中等度以上のうつ状態に相当したそうです。うつ病一般人口の時点有病率が2.2%とされていますから(こころの健康についての疫学調査に関する研究)、単純な比較はできないものの、かなり高い割合の有病率といえます。

医師のストレス  - ウインドウを閉じる

しかしその中で、どの程度の医者が適切な医療を受けているかは明らかになっていません。うつ病をはじめ精神疾患として受診することは医者の間でも抵抗あり、タブー視されていると言っても過言ではありません。医者は「病んだ人を助ける強い人であるべき」という固定観念があり、自らの弱さを認めようとしないからです。さらに上司・同僚・部下など周りの目も気にします。うつ病では「頼りにされなくなる」「ダメな人間と思われる」と不安になったり、さらに「診療できなくなる」「免許を取り上げられる」といった妄想的な不安を生じることもあります。これらは精神疾患に起因する偏見・差別にもとづく不安といってよいでしょう。

この結果、医者の自殺は高頻度に生じています。アメリカでは毎年300-400人の医者が自殺しており、これはアメリカの医学校1クラス分に相当するそうです(1)。一般人口に比較すると、男性の医者は1.41倍、女性の医者は2.27倍に相当します。女性の医者が特に高率となる理由として、セクシャル・ハラスメントが多い、仕事と家事により負担が倍増する、などの心理・社会的要因が挙げられています(2)。



うつ病が最大の危険因子ですが、薬物依存・アルコール依存を併発することも多く認められます(3D: Depression, Drugs, Drink と呼ばれます)。薬物依存は特に精神科、麻酔科、救急の医者に多く認められます。普段の診療で向精神薬や麻酔薬のような依存性の高い薬物を扱っており、入手しやすい環境にあるためと考えられています。一般人口で飲酒・酩酊時に自殺が多いことや一般女性が非致死的な手段を用いることと対照的です。医者の自殺は自分の職場から入手した薬物により完遂することが特徴です(3)。

うつ病の治療をするはずの精神科医の自殺が高いことは矛盾したような話ですが、1967-72年のアメリカにおける大規模調査でもそのような結果が認められました(4)。さらにこの結果に基づく計算によると、3人に1人の精神科医が感情障害に罹患していることになるそうです。この高い割合の理由として、精神科の仕事が感情障害を引き起こす可能性よりも、感情障害の医者が精神科を専攻する可能性が考察として挙げられています。ただし、精神科医と一口いっても、当時と現在、アメリカと日本、総合病院と単科病院、など様々な違いが考えられますので、一概には言えないでしょう。あくまでも一つの統計結果として見るのがよいでしょう。

   

このような調査は日本国内で行われていません。警察庁の「自殺の概要」によると、医者の自殺は、平成16年:79人(男69人、女10人)、平成17年90人(男79人、女11人)、平成18年90人(男85人、女5人)でした。平成19年以降は医療・保健従事者と概算され、医者の自殺の実数は明示されなくなりました(平成19年298人、平成20年319人、平成21年338人、平成22年374人)。欧米の調査でも、実際はより多くの自殺が生じているけれど、本人の名誉や遺族の心情など考慮して、病死や事故死とされている場合が少なくないようですから、日本でも実際はより多くの自殺が生じていると思われます。

いずれにしても、医者の自殺/うつ病/メンタルヘルスへ注意する必要があることは確かです。医者の健康は本人やその家族もさることながら、患者さんへの治療にも関わる問題です。医療事故を防止し、より良い治療を提供するためには、医者の健康にも注意しなければなりません。先の「勤務医の健康支援に関するプロジェクト委員会」からは下記の提言がされています。

医師が元気に働くための7ヵ条
1. 睡眠時間を充分確保しよう
2. 週に1日は休日をとろう
3. 頑張り過ぎないようにしよう
4. 「うつ」は他人事ではありません
5. 体調が悪ければためらわず受診しよう
6. ストレスを健康的に発散しよう
7. 自分、そして家族やパートナーを大事にしよう

勤務医の健康を守る病院7ヵ条
1. 医師の休息が、医師のためにも患者のためにも大事にと思える病院
2. 挨拶や「ありがとう」などと笑顔で声をかけあえる病院
3. 暴力や不当なクレームを予防したり、組織として対応する病院
4. 医療過誤に組織として対応する病院
5. 診療に専念できるように配慮してくれる病院
6. 子育て・介護をしながらの仕事を応援してくれる病院
7. より快適な職場になるような工夫をしてくれる病院

それでも、残念ながら罹患された時には、速やかに受診することが望まれます。早期発見・早期治療がいかなる疾患においても、進行を止める最善の方法です。しかし前記のように、医者の間でも精神疾患として受診することには抵抗があります。自分の勤めている病院の精神科へ受診したら、同僚にカルテを閲覧される可能性もありますから、もっともなことでしょう。アメリカやカナダではこのような個人情報保護に配慮した医師のためのメンタルヘルスサービスが整備されているそうです。日本では国民健康保険の兼ね合いから、多少の制限は生じるでしょうが、プライバシーには十分配慮した診療形態が望まれます。銀座泰明クリニックへも医者をはじめ医療従事者が多く受診されています。皆さん自分の勤める病院や診療所はあえて避け、夜間・土日にいらっしゃっています。つきましては、以上ような状況を考慮のうえ、微力ながらも尽力してまいりたいと思います。

(1) American Foundation for Suicide Prevention. http://www.afsp.org
(2) Schernhammer E. Taking their own lives - the high rate of physician suicide. N Engl J Med 2005; 352: 2473-6)
(3) K Hawton et al. Suicide in doctrors: a study of risk according to gender, seniority and specialty in medical practitioners in England Wales, 1979-1995. J Epidemmiol Community Health 2001; 55: 296-300.
(4) Rich CL and Pitts FN. Suicide by psychiatrists: a study of medical specialists among 18730 consecutive physician deaths during a five year period, 1967-72. J Clin Psychiatry 1980 ; 41: 261-263.
2011.09.18 Sunday 07:46 | comments(0) | trackbacks(7) | 

援助者のためのメンタルヘルス

大震災から2ヶ月が経ちました。被災地は急性期の混乱から脱したものの、慢性的な障害を生じています。沿岸部にはまだ瓦礫が散乱し、行方不明者は1万人近くいます。避難者は12万人を越え、避難所での生活を続けています。

このような状況下、自衛隊や警察・消防、そしてボランティアの方々が日夜、援助してくれています。瓦礫の撤去、行方不明者の捜索をはじめ、食事・洗濯・掃除のような避難所の生活援助まで内容は多岐に渡ります。

援助してくれている方々ですが、その多くが自ら公園や空地にテントを張り、野宿に近い生活を送っている事実があります。電気・ガス・水道のない中、自らも不自由な生活を送りながら、懸命に援助してくれているのです。

援助は長期化すると様々な問題を生じます。過酷な労働、悲惨な光景、不当な評価などにより、被災者と同様、時にはそれ以上のストレスを伴います。この特殊な状況における精神的ストレスを「非常事態ストレス Critical Incident Stress, CIS」と呼びます。CISになりやすい状況を列挙すると次のようになります。

・同僚が負傷したり殉職したりした場合
・自らも死の恐怖を感じながら活動した場合
・多数の死傷者が発生するなどの凄惨な現場の場合
・何らかの理由で救援を十分に遂行できなかった場合
・苦痛を与えるような光景や臭気などの伴う場合
・特に子供の遺体を収容する場合

このため援助者も「二次被災者」「隠れた被災者」と呼ばれることがあります。特に自衛隊や警察・消防の方々は国家の任務として働いており、被災者はもとより、社会からの期待や責任を背負うため、弱音を吐くことができません。そして気がつくと過度の緊張のあまり、不眠、不安、抑鬱といった症状を呈することもあります。

つきましては、このような事情を念頭におき、予防的な体制を整備する必要があります。具体的には以下のような対策が望まれます。

・定期的な休息:睡眠と食事、入浴と着替え
・会話や相談:不快な感情を溜め込まない
・知識や情報の共有:適切なストレス対処
・評価と慰労:ポジティブ・フィードバック

復興は年余にわたる作業です。多くの方々が分担・協力しながら、ストレスを溜めることなく、無事に作業を遂行されるよう期待しています。そして東北・日本が再び今まで以上の元気を取り戻す日を願ってやみません。

銀座泰明クリニック

2011.05.14 Saturday 07:51 | comments(0) | trackbacks(0) | 
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