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覚醒剤精神病 ASKAさんのご病状疑い

覚醒剤とはアンフェタミンとメタアンフェタミン(薬品名:ヒロポン)をさし、1880年代に発見され、当初は治療薬として合成されました。わが国では後者が第二次大戦時に軍事目的で用いられ、特攻隊員が搭乗前に服用させられたり、軍需工場で工員が服用されられたりしたことで有名です。戦後は一般にも流出し、深刻な乱用問題になりました。

 

脳内でドパミンとノルアドレナリンを賦活し、高揚感、過度の覚醒、食欲の減退などを生じ、また多弁・多動、常同行為も生じます。身体的な離脱症状は少ないですが、長期連用で幻覚・妄想、精神・運動・興奮を生じ、末期は無気力は荒廃状態に至るため、覚醒剤精神病と呼ばれ、統合失調症のモデルとされました。中断しても少量の摂取やストレス、不眠、疲労など非特異的な要因で自然に再燃します(精神医学エッセンス、濱田秀伯、改変)。

 

2016年11月28日、覚醒剤取締法違反で再逮捕されたASKAさんですが、この覚醒剤精神病に罹患されていたようです。2016年7月18日に書かれたご本人のブログを読むと、それが疑われます。

 

 

この半年間のできごとについて

 

ASKAです。

 

みなさんには、本当にご心配おかけいたしました。既に、週刊誌やネットでご覧になられていたでしょうが、実は、盗聴盗撮の事実に懐疑的になった周囲によって、覚せい剤の後遺症であると判断され、医療保護入院という国が定めたシステムの入院をさせられてしまっていました。本当に、病気だと思ったのでしょう。早く治療を受けさせなければと考えたのでしょう。

その行為には何の恨みも生まれてはおりません。

盗聴盗撮は本物です。巷では横行しています。皆さんも、気づかれていないだけで、被害に遭われています。ネットでは、精神科の医師の発言により、僕が精神病、統合失調症のように書かれていますが、僕は病気ではありません。精神科の医師たちは、現代のテクノロジーについて行っていないだけです。今回のできごとは、盗聴盗撮集団の思惑どおりに事が運んだということになります。

 

実は、このブログをUPするのは4回目のことです。7月14日、お昼の2時頃に1回目を「ASKA_Bunishustone」2回目は「ASKA_BS」です。ヤフーよりUPしたのですが、グーグルやヤフーの検索エンジンには、引っかからず、誰の目にも止まりませんでした。検索エンジンは、5分も満たないうちに作動するものです。どなたか、プログラマやエンジニアの方が読者の中にいらっしゃいましたら、この疑問を解いてください。1月に2回目のブログ立ち上げの際には、3時間ほどで1000アクセスを超えましたので、非常に不可解です。何らかの力が働いているのではないでしょうか?このブログのオリジナルはここです。

 

http://ameblo.jp/used-be-a-realcast/entry-12180800382.html?frm_id=v.mypage-checklist--article--blog----used-be-a-realcast_12180800382

 

プログラマのみなさん、このブログのソースコードに不自然な点はないでしょうか?4日間も検索に引っかからないのは、極めて不自然です。それとも、ヤフーやアメブロは検索エンジンに引っかかりにくいのでしょうか?ま、あまり疑いを持つのは良くないですね。そういうことも、あるのかもしれません。今回は「はてな」により、”aska_burnish stone”で、UPしてみました。

 

話を変えましょう。入院生活は過酷でした。4ヶ月の入院生活では、最初の10日間、部屋に鍵がかけられ自由を奪われました。本さえも持ち込めないのです。何もやることがないということは、本当に辛いことです。僕は、4ヶ月間ひたすら筋トレに励みました。そして、入院3ヶ月を過ぎた頃、僕が正常であると確信したある弁護士らによって救出して頂いたのです。しかし、医療保護の名の下には、直ぐには解放とはならないのです。一度、任意入院に切り返わる必要があります。

5月17日、僕は九州の病院に転院しました。そこでは、医院長の検診、面談が行われ、直ぐに「病気ではない」と、診断されました。やっと、疑いが晴れたのです。医療保護が解け、任意入院になり、1ヶ月間の自由な生活をいたしました。パソコンもスマホも許可してもらいました。部屋にはテレビもある、お風呂も毎日入れる。売店にも自由に行ける。外泊もできる。地獄から天国です。

 

久しぶりにパソコンに触れた時、驚くべき事実に遭遇いたしました。僕の所有しているパソコン、スマホの全てのパスワードが書き換えられてしまっていたのです。ケーブルが繋がったままでしたので、遠隔操作でしょう。パスワードを取り戻すのには大変な時間を費やしました。1月に書いた4つのブログも、全部削除されました。昨今、芸能人の多くが、このような被害に遭われていることはご存じのことでしょう。

興味深い話をしましょう。僕が「700番」を公開した直後、僕が6年間に渡って受けてきた盗聴盗撮の証拠は、全て削除されてました。現在ネット上に盗聴盗撮の痕跡はありません。しかし、僕はその多くをCD-Rに記録してありましたので、集団の証拠隠滅は無駄な努力となりました。

 

九州の医師には、証拠を見せました。「・・。 こんなことが起こってたんですね。驚きしかありません。」「これが、今の世の中の実態です。僕のように盗聴を訴えて、病気にされている人たちが、全国にはたくさん居ると思います。」

ネットでは、僕がモンスターハンターゲームの被害者だと自ら思い、勘違いしているなどと書かれておりますが、そんな分かりやすいことに6年間も費やすことはありません。モンスターハンターゲームのスレッドなどは見たことがありません。彼らが、モンスターハンターゲームの用語を使用してやっていたのです。カモフラージュです。僕が見ていたのは、数人のツイッターとブログだけです。過去、彼らによって壊されたパソコンのハードディスクは、全て持っています。

また、盗聴で得た僕の声を使用したゲームがあると書きましたが、そのゲームソフトも入手いたしました。自分の声とは58年間付き合ってきてるのです。間違いはありません。声紋鑑定を行えば良いだけです。ここから先の僕の行動は書きません。ただ今、弁護士と打ち合わせの日々です。みなさんへの公開もありえるかもしれません。

6月の終わり、またログインパスワードを変えられてしまいまいた。リセットパスワードでパスワードを取り戻し、その足で、あるIT会社へ相談をするために足を運びました。その時、IT会社社員の目の前で、再びログインパスワードを書き換えられてしまったのです。電源を入れてから、僅か数分間のできごとです。これは「キーロガー」というソフトです。そのウイルスソフトを仕込まれていると、パスワードを書き換えても、一瞬のうちに相手に情報が送られるのです。現在、キーロガーを防ぐ手立ては殆どありません。

 

「相当の集団ですね。ウチのプログラマでは対抗できません。」しかし、このできごとは、僕にとって追い風になりました。証人が増えて行ったからです。彼らは、やりすぎたのです。体制は整ってまいりました。また、週刊誌では、僕が「奇声を上げていた」と、ありましたが、真っ赤な嘘です。家族に手を上げることなどもありません。この6ヶ月間の経緯につきましては、近いうちにある形で皆さんに報告をいたします。ありがとうございました。

 

ASKA

 

いかがでしょう。ASKAさんの言うことに感情移入し、出来事を追体験してみると、もしかしたらそうかもしれないと、特に熱心なファンの方ならば「了解」される方がいるかもしれません。これを「妄想様観念」と呼びます。人間のこころは、その人の置かれた状況を追体験し、その時の気持ちになり、感情移入することから全体を了解することでのみとらえられると考えられます。

 

しかし、どうしても「了解」できない場合は何らかの病的な過程が想定され、その代表を「真性妄想」と呼びます。その代表が統合失調症であり、今回の覚醒剤精神病もその境界線にあると考えられます。ブログの内容は専門的なIT用語が並べられ、その真偽について筆者は分かりませんが、精神医学的には不可思議があります。その最たるものが、精神疾患でない人を医療保護入院にすることは決してない、ということで、「病気でない」と判断されたにもかかわらず、1ヶ月任意入院になることもないということです。

文章は一見、論理的に書かれているようであり、論旨は一貫しておらず、思路障害(考え方の筋の通り方)が多少なりとも障害されていることが推察されます。これは統合失調症ほどではありませんが、精神病の方の特徴的な所見です。いずれにおきましても、被害妄想とあわせて、覚醒剤精神病を生じていたことは間違いないでしょう。

 

さて、今後の成り行きですが、前回の懲役3年、執行猶予4年という判決の最中の再犯であり、実刑、懲役5-6年は確実と言われています。しかし、薬物依存症者に「刑罰」を与えても累犯を生じるのみ、というのが昨今の精神科医による一致した意見です。代わりに必要なのが「治療」であり、どうして薬物依存に至ったのか、止めるにはどうすればいいのかを、生物・心理・社会学的な見地から振り返り、周囲の方々の理解と協力を得ながら進めていくのです(図は断酒治療モデルです、酒を薬に置き換えてご覧ください)。この過程はとても辛く苦しいものですから、とても一人では行えません。家族や友人、そして同じ病を抱えた仲間との絆のもとに進められます。ASKAさんにおかれましても、是非、その治療モデルケースとなることを期待しております。

 

 

銀座泰明クリニック

2016.12.01 Thursday 10:16 | - | trackbacks(0) | 

反復性うつ病の患者さんへの行動記録による再発予防の試み

京都大学医学部 古川壽亮教授 を主任研究者とした「反復性うつ病の患者さんへの行動記録(iPhoneのくらしアプリとウェアラブル・デバイスを用いる)による再発予防の試み」という臨床研究に協力することになりました。

 

これは古川教授によるこれまでの臨床研究の歴史の流れに沿うことなります。2009年、「MANGA 研究」 という世界中の精神科医を驚かせた臨床研究に端を発します。これはいくつものSSRIやSNRIの有効性と忍容性をメタ解析したものでした。結果、エスシタロプラムとセルトラリンがとりわけ優れていました。

 

次に「SUN-D研究」が行われました。うつ病治療のセカンドラインとして、セルトラリン50mg、セルトラリン100咫▲潺襯織競團鵑悗諒冖瑤泙燭倭強といった無作為割付を行い結果を判定するのです。現在、結果がまとめられています。

 

薬物療法に抵抗性を生ずる場合、認知行動療法(CBT. Cognitive Behavioral Therapy)がまず推奨されます。しかし治療者は充足されているとは言えませんし、これからのIT社会の発展を考え、スマートフォンを用いたCBTが考案されました。これが、薬物療法抵抗性大うつ病に対するスマートフォン認知行動療法と抗うつ剤併用療法の無作為割付比較試験、 FLATT Project. Fun to Learn Act and Think through Technology です。

 

そして、このたび再燃・再発される患者さんに対する「早期警告サイン」を読み取るため、行動記録を、ITを用いて記録する試みが行われようとしています。具体的には「くらしアプリ」という iPhone のを持っているだけで「位置」「歩数」「動作」を自動的に採取してくれ、本人の記録とともに半自動的に活動記録が簡単に作成されます。さらに、「シルミー」というリストバンド型ウェアラブルデバイスを装着していただくことにより、消費カロリー、歩数、脈拍、体温、会話量、外出時間(紫外線量)、睡眠時間なども測定されるのです。反復性うつ病でお悩みの患者さんにおかれましては、主治医よりお声かけさせていただくことがあるかもしれませんが、ご自身はもとより、社会貢献として、ご協力のほど、よろしくお願いします。

 

 

銀座泰明クリニック

 

2016.10.27 Thursday 16:41 | - | trackbacks(0) | 

性依存症

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俳優・高畑裕太さんが強姦致傷の容疑で逮捕されました。これまでにも「性欲を抑えられない」というような言動をしばしばして、周囲が心配していただけに、事件を未然に防げなかったのか悔まれます。被害者の女性の辛さ苦しさはもちろんのこと、女手一つで育ててきた母親の高畑淳子さんの嘆き悲しみはいかほどでしょうか。

 

性犯罪は「魂の殺人」と呼ばれるほど被害女性の心を痛めつけます。女性は自分の体が汚れてしまったと感じ、深い抑うつ状態に陥り、自殺企図に及ぶことさえもあります。にもかかわらず加害男性は悪びれることなく、犯罪を繰り返します。いや、悪いとは薄々分かっているけれど、止めることができず、繰り返してしまいます。この心理は「依存症」と言われるものです。

 

「性依存症者」は深いところで女性の心理を理解できず、女性を性の対象としか認識していません。社会生活や日常生活は普通に送っていても、いざ性のスイッチが入ると別人格が現れ、見知らぬ女性の下着を盗んだり、写真を撮影したり、車内で痴漢をしたり、暗闇で強姦したりするのです。その間、性依存症者は相手の気持ちや苦痛など考えず、ただただ快感を味わっています。

 

相手は性の対象「もの」であり、「ひと」ではありません。すなわち「愛」のない行為です。そもそも「性」とは男女の「愛」を深めるための手段であるはずの行為ですが、性依存症者には「性」のみが目的となってしまい空回りしている、空しい、寂しい行為と言えるでしょう。性依存症者のほとんどが独身者か、既婚者であってもセックスレスの仮面夫婦であることがほとんどのようです。

 

それでは、性依存症への治療はどうすれはよいでしょうか。これはまだ未開拓の分野であり、ガイドラインというものがありませんので、銀座泰明クリニックでの治療例をご紹介しましょう。まずはじめに自分自身が「性依存症」であるという自覚を有していただくことです。依存症というのはどうしても「否認」が生じ、なかなか自分の問題と向き合えないものです。そこで自分の犯してきた「依存の歴史」「自分史」にまとめていただきます。「年表」にしていただいてもよいでしょう。すると、依存の背景に隠されてた幼少期や思春期の悲しみや寂しさが思い出されます。これらが依存症の一因になっていたと気づかされることも少なくありません。

 

この生い立ちをもとに、できれば「内観療法」を受けていただきたいと思います。「お世話になったこと、して返したこと、ご迷惑をかけたこと」を幼少期から現在に至るまで母、父、兄弟姉妹、恩師、友人などあらゆる人たちに関して調べるのです。すると、どれだけ自分が皆から愛されながら、罪深いことをしてきたのか、自責の念にかられます。そして被害者をはじめご迷惑をかけた人々へ懺悔の気持ちにかられるようになるのです。集中内観後は日常内観を行いつつ、贖罪に努められるかはその方の反省によるでしょう。

 

最後に医療機関として、性欲を医学的に抑制することも行います。抗精神病薬である「ドーパミン遮断薬」を用いることにより、性欲は確実に治まります。問題は本人が服用に同意すること、適応外試用であることの倫理性です。これらを本人と十分に相談して用いることにより、性犯罪の再犯をなんとか防いでいる方もいらっしゃいます。性依存症は性犯罪と密接不可分の位置にある深刻な脳と心の病です。あらゆる手段を用いて防いでいかなければなりません。

 

銀座泰明クリニック

2016.08.25 Thursday 09:43 | - | trackbacks(0) | 

6月病とは

5月病は、みなさんご存じでしょう。新年度に仕事や学校、転居などで環境が変わり、最初のうちは緊張して頑張っていたものの、ゴールデンウィーク明けごろに気分が落ち込み疲れやすさを感じるようになる症状のこと。環境が変わった当人だけでなく、主婦も家族の生活リズムの変化に伴い、エネルギーを消耗し、同じように5月病になる人が多いのです。

 

それでも、これまでは6月になり新しい生活が落ち着くと症状が緩和する人が多かった。それが近年では、その状況が変わってきています。生活リズムはつかめても、学校や職場の嫌なところが見えてきて「こんななずではなかった」と落胆したり、人間関係がうまくいかずに悩んだり、具体的な問題が浮き彫りになってくるのでしょう。真面目な人ほど、「しっかり頑張らなければ」と自分を追い込んでしまい、心身の不調が収まらず、6月の梅雨という気候も影響して、一気に気分が落ち込んでしまうようです。このような状態を爍況酩足と位置づけ、医学的には適応障害の一つとされています。

 

そもそも6月は、雨や曇りで太陽の光が遮られ、1年のうちでもっとも日照時間が少ない時期。日照時間が短いと、心のバランスを整える脳内神経伝達物質・セロトニンの分泌が減少し、うつ病などの精神疾患にかかりやすくなるのです。

 

人は体内時計の指令によって、日中は活動し夜間は休息するリズムで生活していますが、朝の光をしっかり浴びることができないと、体内時計のリズムが乱れ、心身にさまざまな悪影響を及ぼします。

 

実際、東北・山陰地方での自殺率が高いのは、日照時間が少ないことが影響していると指摘されているのです。また、日照時間の少ない冬に発症し、気候のさわやかな5月ごろに自然に回復してくる「冬季うつ病」という病もあります。逆に、うつ病や睡眠障害の治療には、光を浴びる「光療法」を用いることもり、光が気分に作用していることは明白です。

 

ただでさえ湿気が高くジメジメし、日が差さない不快な時期にもかかわらず、6月は1年のなかで唯一、祝日のない月。5月病を引きずったまま、ゆっくり休めない6月は意外に負担の大きい時期だということを認識しておいたほうがよいでしょう。

 

適応障害は頑張る人ほどなりやすい

6月病のおもな症状は、頭痛、抑うつ、不眠など。最初は、何となく疲れがとれない、気分が落ち込みがちという程度だったのが、次第に物事に集中できなくなり、今まで楽しいと思っていたことに喜びを感じられなくなってしまいます。問題解決力が低下し、いろいろなことが滞りがちになると、自分に対する自信も失い、最終的には「自分は役に立たない人間だ」などという自己否定の感情がわいてくるのです。

 

イライラしているうちは、まだエネルギーがある証拠。活発な活動を促す脳内神経伝達物質のアドレナリンやノルアドレナリンが充足している状態です。うつ状態になると、イライラする元気もなくなって、外出も億劫に。家に閉じこもりがちになっていきます。

 

この症状に陥りやすいタイプは、まじめで几帳面な人。何事もきちんとしなければ気が済まない完璧主義が多く、体調が悪くても休んだり、手を抜いたりすることができません。周囲の人に助けを求めることもせず、いろいろなことを自分ひとりで抱え込んでしまいがちです。こうした人は、新しい環境に適応しようと頑張りすぎて、適応障害を起こすリスクも高くなります。

 

ゴールデンウィークといっても、サービス業や主婦など、普段よりかえって忙しい人も少ないでしょう。5月の連休が明けたあと、さらに頑張り続けた挙げ句、6月に入る頃には、くたくたになってしまう人も多いのです。

 

誤解されやすいのですが、適応障害は環境に適応できない弱い人がなるのではなく、適応しようと頑張って、もうこれ以上頑張れないというところまで無理をしてしまった人がなる病気です。心身の不調を感じたら、まずは休養するのが鉄則。決して、できない自分を責めないこと。今は自分の心が弱っている時期だと認めてあげるようにしてください。

 

規則正しい生活をして没頭できる趣味を持つ

心身の不調が深刻化する前に、早めに異変に気づくためには、自分を客観的にみることが重要です。セルフチェックリストを使って、思い当たることがないかどうか確認してみましょう。とくに集中力や問題解決力が低下すると、家事や仕事がスムーズにはかどらなくなってきます。そこで「自分はダメだ。怠けていてはいけない」と追い詰めないこと。むしろ、「自分は十分に頑張ってきたのだから、少し休んだほうがいい」と、自分を甘やかすことが大切です。

 

セルフチェックリスト

http://www.ginzataimei.com/case/self_check.html

 

家族や同僚など周囲の人に対しても、「きちんとやりなさい」と責めるのではなく、「疲れているのでは?」とねぎらいの言葉をかけてあげるようにしましょう。

 

適応障害になると、5年後には40%がうつ病に移行するというデータもあります。うつ病が重症化すれば、休養は1日や2日というわけにはいかず、数ヵ月、数年に及ぶことになりかねません。ですから、初期段階での適切な対処が大切なのです。

 

セルフチェックの結果、4点以上の人は、かなり無理をしている状態。早めに精神科や心療内科を受診しましょう。2〜3点の人は注意が必要な状態です。積極的に休養をとようにしてください。

 

基本は、規則正しい生活を目指すこと。睡眠は7〜8時間が目安ですが、年齢に伴い必要とされる睡眠時間は徐々に少なくなっていきます。日中に眠気がなく過ごせるくらいの睡眠時間が、最適と言えるでしょう。

 

また、多くの人がこの時期のエアコン使用を控えがち。本格的な夏ではないというのが理由のようですが、それよりも快眠を目指す環境作りのほうが大切です。除湿モードにセットして、寝室の温度と湿度を上手に調節しましょう。

 

寝る前には、テレビやスマホを見るのを控え、照明を落としてリラックスタイムを。眠れないまま布団の中にいると、心配事ばかり頭に浮かび、よけいに眠れなくなるという悪循環に陥ります。ですから、どうしても眠れないなら、いったん布団から出て、自然に眠くなるまで待つのをおすすめします。寝付きが悪い人は、遅寝・早起きを試みることで、熟睡できるようになるでしょう。

 

体内時計をリセットし、腸の働きを促すためには、朝食も不可欠。腸の動きを促し、環境をよくしておくことが体調管理には重要なのです。

 

ストレスがたまってつらいときは、周囲に助けを求めましょう。真面目な人ほど、一人で問題を抱えがちです。しかし、ギリギリまで我慢せずに、誰かに相談に乗ってもらうようにしましょう。人に話すことで、物事を別の角度から見られるようになり、気持ちが軽くなることも多いものです。

 

ストレス解消のため、週に1〜2回は、趣味など自分の好きなことをする時間をつくるのもよいでしょう。自分が楽しい、心地よいと思えるものであれば、何でもかまいません。一般的には、いつも自分がしている行動の真逆のことをすると、気分が晴れてよいと言われています。普段あまり動かずデスクワークの多い人は、運動で汗を流すとリフレッシュできるでしょうし、逆に家事が忙しい、あるいは体を動かしているという人は、読書や手芸がいいかもしれません。写経や最近、再びブームになっている大人の塗り絵なども、集中でき雑念が消えて、あれこれ悩まない時間ができるため、気分転換には最適です。もちろん、一人で何かにトライするだけでなく、共通の趣味をもった人たちと交流する機会をもてば、楽しみが共有できてさらにいいと思います。

 

ただ注意したいのは、食でストレスを発散すること。確かに甘い物を食べるとセロトニンの分泌が促され、幸福度が高まるとは言われていますが、食べ過ぎになると問題です。たとえば、シュークリームを5個も10個も食べてしまい、罪悪感に苛まれて後で吐くようになると、これはもう摂食障害という病気。ストレス解消で食べるときは、ふだんは買わない高級スイーツを1つだけ奮発する、少しだけ上等な肉を買う、おしゃれしてレストランに行くなど、量よりも質で満足感を得るのがポイントです。気の合う友人とおしゃべりしながら食べると、食べ過ぎを防ぎ、気分転換にもなるでしょう。

 

梅雨が明ければ、厳しい夏がやってきます。心身の不調を夏に残さないためにも、いまの季節に無理は禁物。自分の状態を客観的にチェックして、早めのリセットを心がけてください。

 

【保存版】家族が倒れた時
慌てないための 新知識

 

構成◎中山あゆみ 助言◎茅野分/婦人公論6月28日号より

 

2016.06.18 Saturday 08:58 | - | trackbacks(0) | 

薬物依存症の治療共同体「ダルク」とは

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2016年2月3日、清原和博さんが覚せい剤取締法違反で逮捕されました。2014年に週刊誌で使用疑惑が報じられましたが、本人は頑なに否認し、代わりにお遍路をしたりテレビ番組で潔白を主張したりしていたところでしたから、世間は騒然としました。そして、マスコミは連日連夜、清原和博さんの言動や人格を問題視しました。

覚醒剤の所持は反社会的勢力の資金源となるため、厳しく取り締まらなくてはなりません。しかし、本人の使用に関しては刑罰を与えるのみではなく、「薬物依存症」という「脳と心の病気」として診断し、治療しなければなりません。覚醒剤の使用は他の誰よりも、使用した本人を傷つける、いわば「自傷行為」とも言えるからです。

薬理学的に珈琲・紅茶・緑茶(カフェイン)や少量のお酒(アルコール)・タバコ(ニコチン)なども覚醒作用を有していますが、法律学的に「覚せい剤」とは「アンフェタミン」「メタンフェタミン」、およびそれと「同種の作用を有する物質であつて政府の指定するもの」と規定されています。これらは脳内の「ドパミン」を非常に賦活させ、高度の覚醒、感情の高揚、多弁・多動など一種の「躁状態」をもたらします。本人の「快感」はいまだかつてないほどで、田代まさしさんの著作(画像)によると、「ものすごく美味しい料理を食べた時に出るドパミンが30、気持ちいいセックスが100だとしたら、覚醒剤を使った時にはドパミンが1000以上も出ている」といいます。

マーシーの薬物リハビリ日記

しかし、長期使用により、幻覚・妄想、精神運動興奮など「統合失調症の陽性症状」に類似した症状を起こし、その後、意欲減退、無為・自閉など「統合失調症の陰性症状」のような状態に至ります。また「依存・乱用」を起こしやすく、連用により「耐性」を生ずるため、大量摂取するようになり、病状は加速的に進行します。すると使用した本人は覚醒剤のことしか考えられなくなり、それまでの仕事や学業などの社会生活を営めなくなります。このため、覚醒剤は使用した本人はもとより、家族・地域・社会、そして国までも滅ぼす恐れがあり、世界中の国々で禁止されているのです。

1983年、日本民間放送連盟は「覚醒剤やめますか?それとも人間やめますか?」というCMを数年間、放送しました。薬物依存症の患者さんを侮蔑するような表現ですが、まだ使用したことのない国民へ向けた必死の比喩だったのでしょう。1989年からは財団法人麻薬・覚せい剤乱用防止センターによる「ダメ。ゼッタイ。」が用いられるようになりました。しかし、これらのキャッチコピーは、使用してしまったけれど、これから止めていこうとする人々への偏見や差別を招く可能性があり、患者さんの治療や支援に関わる団体より批判の声が上がっています。

それでは、薬物依存症への適切な対策とは何でしょう。それは正しい知識や情報と、そのための教育・医療・福祉です。これまで一般市民へはもとより、薬物依存症の患者さんも逮捕・収監されるのみで、適切な教育・医療・福祉を受けられませんでした。刑務所での薬物依存症に関する治療・教育は十分と言えず、逆に初犯者が再犯者より売買の方法を学んだり、反社会的勢力へ加わったりすることもあるそうです。さらに、出所後は「犯罪者」「前科者」などのレッテルを貼られ、仕事に就いたり、家族と暮らしたりすることが困難となり、孤独や寂しさから再び再使用に至ることも少なくありません。昨今、男子・受刑者の1/5、女子・受刑者の1/3が覚醒剤取締法違反で、再犯率は50%以上と言われています。

そこで、薬物依存症の患者さんへ尽力されている「ダルク」をご紹介しましょう。「ダルク」とは "DARC. Drug Addiction Rehabilitation Center" という略語で、近藤恒夫さんが1985年に作られた、薬物依存症の患者さんのためのリハビリ施設です。東京の日暮里からはじまり、現在は全国に50か所ほどあります。入寮者は3〜6カ月間、共同生活を送りながら、社会復帰を目指しています。いわゆる「治療共同体 Therapeutic Community」です。リハビリのメインは1日3回のミーティング「かつて何が起きて」、「いつもどのようだったか」、そして「今どのようであるか」、この3つだけを話します。聞く側は意見や感想など一切何も言わず、「言いっぱなしの聞きっぱなし」を基本とします。これを我慢して延々と続けていると、他人の話に耳を傾けられるようになり、自分の気持ちを素直に話せるようになるのだそうです。薬物依存症の患者さんは、ともすると自己中心的で、他人の意見を聞いてこなかった人が多いため、黙って人の話を聞くことにより、他者を尊重できるようになります。また虚勢を張ることも多いため、等身大の自分に気づくことができるようにもなるのだそうです。

拘置所のタンポポ

薬物依存症の患者さんの病前性格は、アメリカ精神医学会の定義する「クラスターB、劇場型」のパーソナリティ障害に相当すると思います。すなわち、感情的に混乱しやすく、周囲の人々を巻き込む傾向のあるパーソナリティ障害です。具体的には、自己顕示欲が強く、周囲の関心を引くため、芝居がかった言動をする「演技性パーソナリティ障害」、自分を特別視して尊大になり、自分の利益のために他人を利用する「自己愛性パーソナリティ障害」、さらに他人の気持ちをわきまえず、攻撃的で規範に反する行動を繰り返す「反社会的パーソナリティ障害」、その反対に自己評価が低く、生きることが苦しく、周りから見捨てられることを恐れる「境界性パーソナリティ障害」などです。

これらは遺伝的な素因のみに起因するのではなく、幼少期からのトラウマ、心的外傷を重ねて負ったことにより生じると考えられています。例えば、親から虐待されたり、逆に過保護・過干渉にされたりしたこと、両親の不仲や病気などから機能不全家族に育ったこと、兄弟・姉妹の間で不公平に育てられたリしたことなど挙げられます。さらに小中学校でいじめられ、不登校・ひきこもりに陥ったりしたことなども加わると、適度な自尊心や自己肯定感を抱くことができず、尊大になったり、卑下したりするようになるのです。

従って、薬物依存症の治療や援助には「ダルク」のような「治療共同体」において、薬物から離脱することのみならず、あるがままの自己を見つめ直し、他者との関係性を再構築していくことが望まれます。冒頭に記載した清原和博さんも栄光と挫折のはざまを行き来することで、本当の自分を見失い、薬物依存症に罹患されたのではないかと推測します。だからこそ、恥や外聞をかなぐり捨て、「ダルク」にて回復されること祈念いたします。

田代まさしさん

田代まさしさんと筆者

銀座泰明クリニック

2016.03.12 Saturday 13:17 | - | trackbacks(0) | 

内観研修所と医療施設との円滑な連携のために

第18回 日本内観療法医学会

内観研修所と医療施設との円滑な連携のために

○茅野分1) 水野雅文2) 真栄城輝明3)

1)銀座泰明クリニック 
2)東邦大学医学部精神神経医学講座
3)佛教大学・大和内観研修所

現代の医療施設、特に小規模のクリニックにおいて集中的なサイコセラピーを行うことは困難である。しかし、慢性化した気分障害や不安障害、そしてパーソナリティ障害など対象となる患者は数多い。これらに対して、これまで精神分析療法や認知行動療法など西洋のアプローチがしばしば用いられてきた。本発表では、東洋の「内観療法」を内観研修所と連携して施行した症例を提示して、生じた様々な問題を考える。

内観療法は6泊7日の「集中内観」を基本とし、内観研修所に宿泊、朝5時から夜9時まで、トイレやフロの時間も「1分1秒、惜しんで内観する」(吉本伊信)。一般の医療施設では不可能な治療のため、内観研修所へ「紹介」し、内観後は医療施設へ「逆紹介」する。

主治医は診療において集中内観について詳細な説明を行った。特に、「外観(迷惑をかけられたこと)」から「内観(迷惑をかけたこと)」へ転じる「3日目の壁」を乗り越えられるように激励した。そして、主治医は「診療情報提供書」、患者自身も「自分史(生育歴)」を執筆し、内観へ持参するよう指導した。「自分史」は「外観」を呈していることが多いが、患者が自分の半生をどのように認知しているのか理解する上で有益である。そしてこれが最終日の座談会においてどのような「内観」へ変容し語られるのかが集中内観の醍醐味とも言えよう。

内観面接者から主治医へは、集中内観の経過や結果が「フィードバック」された。課題としては、集中内観を完遂できる症例の「見極め」、中断した際の「フォローアップ」、そして「日常内観」への「動機づけ」などが挙げられる。いずれの場合においても、集中内観は「入門」であり、大切なのは「日常内観」であると説明する。しかし心病む患者が一人で内観を続けるのは困難であり、主治医は内観的な診療を意識しなければならない。

銀座泰明クリニック

2015.10.24 Saturday 18:23 | - | trackbacks(0) | 

内観療法のワークショップに参加して

内観ワークショップに参加して/第111回日本精神神経学会学術総会より

茅野分/銀座泰明クリニック、筆者は、内観療法に関心を持つ精神科医であり、日本内観医学会の会員でもある。


平成27年6月4日から6日にわたって、大阪国際会議場およびリーガロイヤルホテル大阪において、第111回日本精神神経学会学術総会(世界精神医学会(WPA)との併催)が開催された際に、内観療法のワークショップが行われるというので参加した。6月5日(金)のことである。当日は8時半という早朝からの開始であったにもかかわらず、170名収容の会場に120名前後の参加者を集めて行われた。ワークショップの演題は、「内観療法の実際−症例編−」。演者は3名。当日の講演順に内容の一部を抜粋して紹介しよう。



トップバッターとしてマイクを握ったのは、「医療法人清潮会三和中央病院長」の「塚崎稔先生」であった。「症例からみる内観治療」と題して病院臨床のなかでの内観療法をご紹介いただいた。エビデンス・ベイストなご発表で、アルコールはじめ物質による精神・行動の障害が過去11年間で296/396人と圧倒的に多いことに驚かされた。症例1はうつ病リワークプログラムに通院中の非定型うつ病、30歳、男性。我欲が強く、自己中心的で他者からの承認を求め悩んでいた。集中内観を経ると「自分が周りの人からどれほど支えられ生きてきたか実感でき、自分でも驚くほど穏やかな気持ちになれました」と述べたという。症例2は医療観察法通院プログラムにある50歳、男性、妄想性障害、アルコール依存症。幼少期から実父の虐待を受け、共感性を欠いて育った。45歳時、被害妄想から近隣住人を刃物で切りつけた。入院後も心を閉ざし、周囲と交流を絶っていた。そこで月2回、10ヶ月間もの内観療法を実施。すると「病弱な母へ迷惑をかけました、被害者へも申し訳ありません」と丁寧に述べるようになったとのことだった。

次に「心身めざめ内観センター主宰」の「千石真理先生」が演台に立った。「ハワイの内観研修背景と実践」と題して、北米文化圏における内観療法が紹介された。アメリカの終末期ケアや緩和ケアにおいて仏教や禅にスピリチュアルケアとしての役割を期待しているとのことだった。日本人としては誇らしい気持ちにさせられるお話であった。症例は60代、白人男性、アルコール依存症、3回目の結婚、日本人女性と離婚の危機にある。いずれの離婚もアルコール依存症が原因だった。千石先生との内観カウンセリングにより、幼少期からの父親との確執が解消し、アルコール依存は寂しさを紛らわせるという気づきが得られ、離婚の危機も救われた症例であった。

最後の演者は、「佛教大学特任教授・大和内観研修所長」の「真栄城輝明先生」であった。「病院臨床と内観研修所を舞台に」と題して、Psychotherapyとしての内観が紹介された。症例1は統合失調症の母親を持つ青年、母親へ甘えた記憶はないと内観を拒否し、父親の内観からはじめた。それでも、運動会の記憶の中、母親が深夜にお弁当を作ってくれている姿を思い出し、泣き崩れた。そして「母は僕のことを愛してくれていた。僕は愛が見えなかっただけ」と語り、一度も見舞ったことのない母親の病院へ行った。症例2は被害妄想を抱く高齢の女性。主治医の承諾を得ず、突然やってきた。他者と同様に静かに内観する条件で開始。すると、長男が高校時代に成績低下した時に本人を責めてしまい、結果、自死を遂げたと号泣した。この告白を機に女性は憑き物が落ちたように穏やかになった。「内観療法により統合失調症が治る」ことはないけれど、「物の見方が変わり、心に平安が訪れ、感謝報恩の気持ちで暮らせるようになる」とのこと。まさに内観療法の真骨頂といえよう。

このところ内観療法は、この学会では3年連続でシンポジウムとワークショップを開催してきたという経緯が司会者(小澤寛樹先生・堀井茂男先生)からの紹介があり、毎年のように多くの参加者を集めてきたようである。質疑応答も活発に行われ、当日はセッション終了後にも演者を捕まえて質問している方もいた。21世紀は脳科学の時代といわれる時代に、なぜ内観療法なのか、それはやはり精神医学は「人間関係」を無視しては成り立たないからだろう。薬物療法が主体の精神科医療にあって、少なくない精神科医たちはそれを補う方法を探し求めているようである。ちなみに、今回の大会テーマは「翔たくわれわれの精神医学と医療−世界に向けてできること−」であった。たとえ精神疾患の原因が脳の部位に見つかったとしても、精神医学が「翔たく」ためには「体」はもとより、「心」や「社会」だけでなく、「魂」も含めた人間存在の全体を見渡す必要がある。そうなると、精神科医療者にとっては、内観療法への期待はますます高まっていくであろう。少なくとも、今回のワークショップに参加して筆者はそう感じた。

銀座泰明クリニック

 
2015.09.10 Thursday 17:06 | - | trackbacks(0) | 

共感の技術

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前回「大人の発達障害」にて「自閉症スペクトラム障害」の基本症状として、「三つ組みの障害」すなわち「社会性、コミュニケーション、イマジネーションの障害」をご紹介しました。「自閉症」という名称の通り、他者との関わりを避け、自分の価値観にこだわる背景には、この「三つ組みの障害」があるわけです。さらにこの障害の心理特徴として「共感」の不足が挙げられます。

「共感」とは相手の気持ちを自分の気持ちのように感じる心理現象です。通常の社会生活を営む上では当たり前な心理のようですが、これを欠くことにより、様々な社会問題を生じます。職場不適応や家庭不和は典型例で、それが極まると犯罪や虐待などに至るわけです。従って、社会問題を解決・予防し、幸福な社会生活を営むためにも、「共感」を高めることが求められます。

そこで今回は、杉原保史先生の「プロカウンセラーの共感の技術」に学びましょう。共感するためには相手の立場や心理を想像すること(イマジネーション)が必要です。これは「言うは易く行うは難し」、なかなかできるものではありません。自分の立場や心理と異なるものは遠ざけてしまう傾向があるからです。特に、自分と利害の反する相手になるとなおさらでしょう。むしろ否認や拒絶の心理が生じてしまうものです。このため、共感するには「自分の視点から離れること」が第一だそうです。自分の立場や心理はひとまず置いて、相手の立場や心理を理解することに集中するのです。その際、価値や善悪の判断は抜きに、すべてをありのままに感じることが重要です。これはカウンセリングの基本姿勢であります。

具体的な技術としては、相手の話していることもさることながら、話していないことや話せないことへ想いを巡らすことが大事だそうです。カウンセリングを必要とする心理的な問題を生じている時は、矛盾や葛藤により混乱しているため、なかなか問題を「言語化」できません。さらに、心の深層に関わる問題になればなるほど表現は曖昧・混沌として言葉にならないそうです。そこで、カウンセラーは相手の視線、表情、姿勢などの非言語的な表現から、言外に語られている真意を推し量ります。そして、「あなたはその時どういう風に感じたのですか」と穏やかに言語化をうながしていきます。と言ってもすぐに回答を得られるものではありませんから、クライアントが自分の気持ちに注意を向けられるよう、繰り返し形を変え質問していくのです。

共感することの前提として、自分自身が共感された体験を持つことが求められます。まずは自分に対し肯定的な態度でいないと、相手に対しても肯定的な態度はとれません。いわゆる適度な「自己肯定感、Self- Esteem」を抱けているかどうかがポイントです。このため、精神分析家は教育分析といい、自分自身が精神分析を受けることを訓練として設けられ、まずは自分自身を肯定・受容できるよう取り組むのです。一般の方はそこまでの必要はないでしょうが、適度な自己肯定感や自己洞察は必要です。もしも相手を共感できない、自分の気持ちや考えに固執してしまうことを繰り返す際は、過去の体験や人生を振り返り、何がそれを妨害しているのか気づくことが望まれます。これを一人で行うことはとても難しいため、専門的なカウンセリングを受け、本当の自分を知ることをお勧めします。相手に共感するには、自分に共感することが前提なのです。



銀座泰明クリニック
2015.08.09 Sunday 10:58 | - | trackbacks(0) | 

大人の発達障害

2015年日本精神神経学会「成人発達障害」も満員でした。2011年2012年にて企画を立案した宮岡等先生は内山登紀夫先生にお話をうかがう形で「大人の発達障害ってそういうことだったのか」を著しました。発達障害はこれまで児童精神科の範疇に留められてきましたが、メディアの啓発もあり成人、大人の事例も散見されるようになりました。銀座泰明クリニックへも様々な理由で受診されていますので、これを機にまとめておきましょう。

発達障害は自閉症スペクトラム障害、注意欠陥障害、学習障害などを含みますが、最も問題とされていますのが自閉症スペクトラム障害です。これは広汎性発達障害、アスペルガー障害、高機能自閉症など様々な呼び名がありますが、近年、「自閉症スペクトラム障害 Autistic Spectrum Disorder. ASD」 に収束しつつあります。基本となる症状は、「社会性、コミュニケーション、イマジネーション」いわゆる「三つ組みの障害」です。具体的には、人よりも物に関心がある、こだわり行動(物を並べる、特定の物を集める、変化を嫌う)、言葉の遅れ、言葉の偏り、感覚過敏などです。子ども時代には、ごっこ遊びができない、グループに入れない、イジメられる、孤立的になる、突飛な行動をとる、エキセントリック、オタク、コミュニケーションに乏しい、発達の凸凹が目立つことなどです。これが大人になると・・・会社で世間話をできない、宴会に参加できない、派閥に入れない、パワハラに遭う、孤立的になる、コミュニケーションに乏しいなど挙げられます。家庭では・・・夫婦間・親子間の会話に乏しい、触れ合いに乏しい、コミュニケーションに乏しい、そもそも、愛に乏しいということになります。このため、職場不適応、夫婦不和といった適応障害という主訴で受診することが多く、よくよくお話をうかがうと、背景に発達障害が見えてくるわけです。

「注意欠陥障害 Attention Deficit Hyperactivitiy Disorder」 は不注意、多動性、衝動性を特徴とします。具体的には、気が散る、じっとしていられない、思いついたらすぐ行動するなどです。「学習障害 Learning Disorder」は知的障害がないにもかかわらず、「聞く」「話す」「読む」「書く」「計算する」「推論する」こといずれか一つ以上に支障を来たす障害です。

発達障害は生得的な特性であり、治る/治らないというものではありません。特性を多少緩めながら環境調整をしながら周囲と折り合い生きてまいりましょう。その際、特にASDの方は内省を苦手とするものですから、周囲が問題点を分かりやすく指摘するとよいです。さらに、聴覚情報も苦手とするものですから、視覚情報として、言葉を文字にして渡すとなおよいでしょう。

発達障害、「障害」と診断するには、仕事や生活に支障を生じているわけですが、その手前で支障を生じていない方々は自閉的な傾向などを活かしています。すなわち、高度な集中力や記憶力、さらに発想力などを発揮しています。その極めた形が「サヴァン症候群」といわれる天才の方々です。このように、能力にも光と影があり、うまく光輝くよう、周囲の方々が配慮して下さることを願う次第です。



銀座泰明クリニック
 
2015.07.26 Sunday 23:04 | - | trackbacks(0) | 

「心の病、はじめが肝心 早期発見、早期治療の最新ガイド」水野雅文著



筆者(茅野分)の恩師、水野雅文先生による新書が出版されました。「心の病」に関する一次予防(発病予防)・二次予防(早期発見・早期治療)・三次予防(リハビリテーション)について、最新の知見が余すところなく、分かりやすく書かれています。一読して、水野先生の講義を聴いているような、座談会にてお話を聴いているような錯覚を覚えました。

なかでも、第3章「心の病を重くしないコツ、病気は治り方が大事」の一節は読みごたえあります。「乗り越えた実感が大事、価値観を大きく変えなければ、がんばりきれません」「罹患することを、かえって奇貨と考え、新しい自分を獲得していくことが大事です。人生の価値、楽しみを積極的に見つけましょう。とくに、自己実現の方法を会社以外に見つけることは、どんなに人にも大切です。精神疾患からの回復記念に『生き方は一つではない』と考え直してみるのもいいことだと思います」は水野先生ならではの「リカバリー」の定義ではないかと思うほどに説得力があります。心の病になることは、病自体の苦しみもさることながら、「心の病」であることの「スティグマ(偏見)」に、周囲の視線、そして自尊心が傷つき、苦しみます。このため、本当の「リカバリー」とは水野先生のおっしゃるように、病を「乗り越え」、むしろより良い生き方や人生観を身につけることだと言えるでしょう。

さらに、第5章「『心に効く』生活習慣とは?」における「ポジティブシンキング」「『楽しいときを』を心に刻んでおく」「小さな趣味の大きな価値」「運動は『万薬の長』」「心の栄養−『地中海ダイエット』」「家族関係をつくり直す」は水野先生の人生観が具体的に語られているようで貴重です。「毎日、笑顔で」「ポジティブに」働くための生活習慣がいくつも紹介されています。心の病に罹(かか)られた方はもとより、健康な方も、より健康になるため、ぜひ一度ご一読くださいませ。


銀座泰明クリニック
2015.07.05 Sunday 09:30 | - | trackbacks(0) | 
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